一般社団法人日本音楽著作権協会 JASRAC

使用料が作詞者、作曲者、音楽出版社に届くまで

JASRACでは、関係権利者から提出していただく「作品届」「編曲届」等によって、使用料の分配の対象となる関係権利者が誰なのか、また作品ごとに関係権利者間で取り決めている各権利者の使用料の分配率がどうなっているかを確定しています。一方、音楽の利用者からは、使用料の支払いとともに利用曲目の報告をいただいています。この報告にもとづき、使用料の分配対象となる作品が特定されます。

そのうえで、作品ごとの分配額を計算し、その作品の作品届等に記載された分配率に従って関係権利者ごとの分配額を確定した後、利用形態ごとに定めている管理手数料と税金を控除して分配します。分配は、6月、9月、12月、3月の年 4回行っています。その際、作品ごと、利用形態ごとの分配額を記載した分配明細を提供しています。

  • 国内で作品が
    使われた場合
  • 外国で作品が
    使われた場合

国内で作品が使われた場合、関係権利者が作詞者・作曲者のみの場合、その作詞者・作曲者がJASRACと著作権信託契約を結んでいれば、JASRACから直接分配します。次の1と2は、作詞者・作曲者の他に音楽出版社が関係権利者として加わった場合にどのような契約関係の下で使用料が分配されるのかをまとめたものです。

音楽出版社とは

作詞者・作曲者から著作権の譲渡を受けて作品の著作権者となり、作品が世の中で多く使われるようプロモーションを行います。

1すべての関係権利者が JASRAC と著作権信託契約を結んでいる作品の場合

図:すべての関係権利者が JASRAC と著作権信託契約を結んでいる作品の場合の使用料分配の流れ

コンサートでの演奏やTVなどの放送での利用のように、流れた音楽が形に残らないような利用に伴う使用料(以下まとめて「演奏権使用料」といいます)については、分配に関する国際ルールにより、1曲の使用料の少なくとも1/2はJASRACが作詞者・作曲者に直接分配します。

一方、CDやDVDなどの媒体に管理著作物を複製する場合の使用料(以下まとめて「録音権使用料」といいます)については、音楽出版社と作詞者・作曲者との間に結ばれる著作権譲渡契約により、1曲の使用料のすべてが音楽出版社取分とされていることがあります。この場合は、その作品に係る「録音権使用料」のすべてが音楽出版社に分配されます。そして、分配を受けた音楽出版社は、作詞者・作曲者との著作権譲渡契約にもとづき、自らの取分を受け取るとともに作詞者・作曲者へ再分配を行っています。

2音楽出版社がJASRACと著作権信託契約を結んでいて、作詞者・作曲者が結んでいない作品の場合

図:音楽出版社がJASRACと著作権信託契約を結んでいて、作詞者・作曲者が結んでいない作品の場合の使用料分配の流れ

この場合は、作詞者・作曲者とJASRACとの間に著作権信託契約がないため、JASRACはすべての使用料を音楽出版社に分配します。
その際、音楽出版社への分配明細に加え、JASRACと著作権信託契約のない作詞者・作曲者分の分配明細も作成し、音楽出版社に提供しています。
分配を受けた音楽出版社は、1と同様、作詞者・作曲者へ再分配を行っています。

3一般的な外国作品の場合

図:一般的な外国作品の場合の使用料分配の流れ

(作詞者・作曲者が外国の著作権管理団体のメンバーで、外国の音楽出版社(オリジナル・パブリッシャー:OP)と契約があり、日本国内にサブ・パブリッシャー(SP)がある場合)

外国の著作権管理団体との管理委託契約に基づいて、日本国内での外国作品の利用についても、JASRACが許諾徴収を行い、分配します。

演奏権使用料など、著作権管理団体が作詞者・作曲者に直接分配する分については、JASRACからその作詞者・作曲者の所属する外国の著作権管理団体へ分配し、その団体から作詞者・作曲者へ分配されます(分配に関する国際ルール参照)。音楽出版社の取分については、JASRACからSPへ分配し、SPからOPに再分配されます。

録音権使用料などにおいては、作詞者・作曲者の所属する外国の著作権管理団体を経由せず、JASRACからSPへ分配し、SPからOPに再分配され、OPから作詞者・作曲者に再分配される場合が一般的です。

JASRACは、外国団体と相互管理委託契約を結んでいます。相互管理委託契約では、自国の利用者・権利者に適用しているルールに基づき相手国の作品を管理することになっています(「JASRACの国際ネットワーク」参照)。

これにより、JASRACの管理作品が外国で利用されると、その国の団体がJASRACに代わって利用を許諾し、使用料を受領します。そして、その使用料が、楽曲明細と共にJASRACに送られてきます。

日本国内では、JASRACと契約を締結していない(JASRACメンバーではない)作詞者・作曲者の作品でも、音楽出版社と契約をしていれば、JASRACが管理をしています。しかし、多くの外国団体は、JASRACメンバーではない作詞者・作曲者の取分については、音楽出版社との契約があっても、使用料を送金してきません。そのため、JASRACメンバーではない作詞者・作曲者は、外国での利用については分配を受けることがほとんどできません。(詳しい使用料の流れについては、「演奏権使用料が権利者に届くまで」をご覧ください。)

JASRACでは、外国団体から受領した楽曲明細を、JASRACの作品データベースと照合し、作品コードを特定した上で、関係権利者に分配します。

外国で作品が利用された場合に使用料が分配されるまで

図:外国で作品が利用された場合に使用料が分配されるまでの使用料分配の流れ

JASRACは、楽曲ごとに作品コードを付与し、関係権利者や分配率など、権利者ごとの分配額を確定して各権利者へ分配するために必要な情報を、作品データベース上で管理しています。

JASRACは外国団体から、電子データで楽曲明細を受領しています。この明細データをJASRACのデータベースと自動照合し、作品コードを特定します。自動的に特定できなかったデータについては、手作業で特定します。

原則として、外国団体は作品単位で使用料を送金してきます。JASRACは、関係権利者が届け出た分配率(利用された国・地域で適用される分配率)に従い、権利者へ分配します。

図:外国で作品が利用された場合に使用料が分配されるまでの使用料分配の流れ

使用料の流れ

外国団体が受領した使用料は、演奏権使用料と録音権使用料に分けてJASRACに届きます。演奏権使用料とは、コンサートでの演奏や放送など流れた音楽が形に残らない利用に伴う使用料のことです。録音権使用料とは、CDやDVDなど音楽がディスク等に複製されて物として残る利用に伴う使用料のことです。

関係権利者には、作詞者・作曲者だけでなく、音楽出版社も含まれます。作詞者・作曲者と契約を結び、作品のプロモーションを行うために著作権の譲渡を受ける音楽出版社をオリジナル・パブリッシャー(OP)といいます。OPは、自国以外でのプロモーションを現地の音楽出版社に任せることがあります。その場合の現地の音楽出版社をサブ・パブリッシャー(SP)といい、OPがSPと結ぶ契約をサブ・パブリッシング契約といいます。日本の作詞者・作曲者の作品については、多くの場合、日本国内の音楽出版社がOPとなっています。

外国団体は、自ら収集した情報のほか、JASRACや現地のSPから提供される情報に基づいて、JASRACの管理作品を管理し、使用料を受領し、楽曲明細とともに送金してきます。

ここでは、現地にSPが存在する作品について、外国団体が受領した使用料が日本国内の関係権利者に届くまでの流れを説明します。

演奏権使用料が権利者に届くまで

図:演奏権使用料が権利者に届くまで

演奏権使用料については、分配に関する国際ルールにより1曲の使用料の少なくとも1/2は作詞者・作曲者の取分となります。

外国団体は、JASRACと直接管理委託契約を締結している作詞者・作曲者(JASRACメンバー)の取分をJASRACに送金し(上図①)、音楽出版社の取分を現地SPに分配します(上図②)。

JASRACは、外国団体から作詞者・作曲者の取分を受領した後、外国団体から受領した楽曲明細データに基づいて、作詞者・作曲者に分配します(上図③)。OPの取分は、JASRACを経由せず、外国団体から分配を受けたSPが直接OPに送金します(上図④)。

作詞者・作曲者がJASRACメンバーではない場合、外国団体の多くは、作詞者・作曲者の取分を送金しないため、作詞者・作曲者は上図③の分配を受けることができません(JASRACメンバーになる方法について)。ただし、一部の外国団体は、OPと契約のある全ての作詞者・作曲者の取分を送金してきます(上図①と同じ)。その場合には、JASRACはその作詞者・作曲者の取分をOPに分配し(上図※1)、OPが作詞者・作曲者に再分配します(上図※2)。

なお、現地にSPがいない作品の場合は、OPの取分も直接JASRACに送金されてきます(上図①と同じ)ので、JASRACからそのOPに分配します(上図※1と同じ)。

録音権使用料が権利者に届くまで

図:録音権使用料が権利者に届くまで

録音権使用料については、多くの場合、SPが現地における取分の100%を有しています。このため、外国団体は使用料を現地SPに分配し(上図①)、SPが、外国団体から受け取った分配使用料を、直接OPに送金します(上図②)。

その後、OPが作詞者・作曲者との著作権譲渡契約に従って作詞者・作曲者の取分を再分配します(上図③)。

JASRACメンバーである作詞者・作曲者が取分を有している場合には、外国団体はその作詞者・作曲者の取分をJASRACに送金してきます(上図※1)ので、JASRACから作詞者・作曲者に取分を分配します(上図※2)。

なお、現地にSPがいない作品の場合は、OPの取分も直接JASRACに送金されてきます(上図※1と同じ)ので、JASRACからそのOPに分配します(上図※3)。

分配スケジュール

図:分配スケジュール

外国団体から送金された使用料は、受領日に応じて年4回の分配期にまとめ、権利者(「分配ルールの基本」の「3.分配の対象となる権利者の確定」参照)に分配します。

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