一般社団法人日本音楽著作権協会 JASRAC

About Us許諾・請求・分配の仕組み
(放送等)

放送および放送用の録音におけるJASRAC管理楽曲の使用料(放送等使用料)が分配されるまでの流れは、以下のようになります。
  • 1.全国の放送局との間で、それぞれ利用許諾契約を締結します。
    2.放送局の放送事業収入などに基づいて算定した包括使用料をお支払いいただきます(使用料規程第2節「放送等」)。
    3.放送局から、利用曲目報告を受けます。この報告には、放送報告受付システム「J-BASS」(ジェイ・ ベース)を利用していただきます。
    NHKおよび民放地上波では、ほとんどすべての放送局が、このシステムを利用して、利用したすべての楽曲をJASRACへ報告する「全曲報告」を行っています。
    4.お支払いいただいた使用料は、3の利用曲目報告に基づき、曲ごとの分配額を計算します。
    5.4で確定した金額を、年4回分配明細データとともに関係権利者に分配します(以下「放送の利用曲目報告↓)」参照)。
【放送等使用料が分配されるまで(包括契約・包括使用料を選択する場合)】
  • ※1衛星放送などの場合は年1回
  • ※2使用料が作詞者、作曲者、音楽出版社に届くまではこちら
放送局は、管理楽曲の利用状況に応じて、1曲1回ごとの使用料も選択できます。
ここでは、放送等使用料の中でも特に大きな規模を占めるNHK・民放地上波を中心に、その分配の仕組みを解説します。

放送等使用料(利用許諾・請求)

利用許諾契約および使用料請求

放送でのJASRAC管理楽曲の利用については、放送局との間で利用許諾契約を締結し、利用したすべての楽曲を報告いただいています。
放送局は利用許諾契約を締結する際に、JASRACの全管理楽曲の利用を一括して許諾する包括的利用許諾契約(包括契約)を締結する方法と、管理楽曲の利用の都度、利用許諾契約を締結する方法(個別契約)から選択できます。
使用料は、1年単位で算定した包括使用料を請求する方法(包括使用料)と、1曲1回ごとの使用料を算定し請求する方法(曲別使用料)がありますが、多くの放送局は、多数の管理楽曲を継続的に利用することから、包括契約による包括使用料の支払いを選択しています。諸外国においても、このような、放送局による楽曲の大量・継続利用の事情は同様であり、包括契約・包括使用料の選択が一般的です。
包括使用料は、放送局の前年度の放送事業収入に一定の料率を乗じて算定しています。また、多くの放送局が全曲報告を行うようになり(以下「放送の利用曲目報告↓」参照)、より利用の実態を反映することが可能となったことに伴い、2015年度以降の使用料については、JASRACの管理楽曲の利用割合を反映して計算しています。

放送等使用料の計算式

【地上波放送の場合】
放送事業収入×1.5%×JASRAC管理楽曲の利用割合=包括使用料

  • この計算式は計算の仕組みを単純化しており、各種控除、消費税等は省略しています。

利用許諾契約および使用料請求

テレビやラジオの放送では、予め制作(録音・録画)した番組を放送することが多いため、利用許諾の範囲には、放送局が放送することだけでなく、放送局や番組制作会社が放送番組を制作する際に複製すること(放送用録音)も含まれています(著作権法44条に定められる放送局等による一時的固定は含みません。)。
また、放送番組の公開録音イベントでの演奏など、放送に伴う利用も許諾の範囲に含まれますが、放送された番組を視聴者が伝達したり複製したりすることまでは含みません。

放送等使用料(NHK・民放地上波)の分配

入金から分配までの概略

入金された包括使用料が、利用された曲ごとに関係権利者へ分配されるまでの仕組みを図で表すと以下のようになります。
包括使用料は、四半期ごとに分配額の計算を行います。まず、演奏権が働く放送と録音権が働く放送用録音とでは権利が異なるため、四半期ごとの包括使用料を放送の分配資金と放送用録音の分配資金とに分けます。その後、それぞれの資金と利用曲目報告データを基に、使用回数や使用時間等の違いを点数化して曲ごとの分配額が算出されます。
  • ※1使用時間の違いを反映する点数
  • ※2使用方法の違い(音楽がメインとして使われる場合と、その他の場合(番組のテーマやBGMとして使われる場合)との違い)を反映する点数
  • ※3放送局の視聴可能エリア等の放送規模を反映する点数

放送等使用料(NHK・民放地上波)の分配スケジュール

放送局からお支払いいただいた使用料は、利用月に応じて年4回関係権利者に分配しています。例えば、6月に放送された楽曲は、7月に利用報告がなされ、12月に関係権利者へ分配します。
外国の著作権団体に所属する権利者の取分は、国内の分配期の1カ月後に各国の所属団体に送金します。
「使用料が作詞者、作曲者、音楽出版社に届くまで」もご参照ください。

放送の利用曲目報告

使用料は、放送報告受付システム「J-BASS」により各放送局から提出される利用曲目報告に基づき、関係権利者に分配します。
放送局は、①利用した楽曲を報告する方法と②映画や番組のタイトル等を報告する方法の二つの方法を併用して利用曲目報告を行います。
基本的には、放送局は放送番組で利用した楽曲を把握しているため、①の方法で、楽曲のタイトル・作品コード・著作者名・使用時間等を報告します。
JASRACは、報告された利用曲目報告データ(タイトル・作品コード・著作者名等)をJASRACの作品データベース(※1)と突き合わせ、楽曲を特定します。ほとんどの楽曲は自動的に特定されますが、特定できなかった場合やJASRACの作品データベースに登録のない新曲が含まれていた場合には、手作業で楽曲の特定・登録を行います。
映画や外国制作番組など一部の番組については、放送局がその中で利用されている楽曲を把握していないことがあるため、②の方法で、映画や番組のタイトルと制作国、制作年を報告していただきます。②の報告があった場合、JASRACでは、提出された報告データと映像コンテンツデータベース(※2)とを照合して利用された楽曲の特定を行います。
  • ※1楽曲のタイトル、著作者名等の情報を格納したデータベース。著作者・音楽出版社などの権利者から提出された作品届に基づき、JASRACで登録・修正を行い、楽曲ごとに作品コードを付与して管理している。このデータベースに基づき分配先となる関係権利者を特定する。
  • ※2映画や外国制作番組などの映像作品の制作国、制作年、利用されている楽曲の情報など、映像作品に関する情報を格納したデータベース。映像製作者や外国の著作権管理団体などからの情報に基づき、JASRACで登録・修正を行っている。

全曲報告が実現するまで

使用料は、放送報告受付システム「J-NHK・民放テレビ地上波の放送局は、利用したすべての楽曲をJASRACへ報告する「全曲報告」を行っています。
市販のCDやレコードの放送(レコード放送)が著作権管理の対象となった1971年当時、放送局が利用したすべての楽曲を報告することは物理的に困難でした。これは、それまで全曲報告が行われていた生演奏や放送番組のために書き下ろされた楽曲(レコード放送でないもの)の利用と比較して、レコード放送では格段に多くの楽曲が利用されることによるものです。そのため、レコード放送については、統計学の理論に基づくサンプリング報告(※3)による分配を行っていました。
2003年には、一部の放送局がレコード放送についても全曲報告をはじめましたが、その後も大半の放送局は全曲報告を行うことができませんでした。その後、フィンガープリント技術(※4)の発達や各放送局の協力などにより、徐々に報告体制が整備され、現在に至っています。
関係権利者への正確な分配および管理楽曲の利用割合を正確に算出するための全曲報告を実現するには、放送局との連携が不可欠です。 JASRACは、今後も放送局と協力して、関係権利者の方への正確な分配を滞りなく続けていきます。
  • ※3放送局に対し一定の期間を割り当て、利用曲目をサンプルとして報告いただく方法で、現在もNHK・民放テレビ地上波以外の一部の放送局で実施しています。
    一部のサンプルによって全体を推定する調査方法(標本調査)は、世論調査や視聴率調査などで一般的に行われているものです。
  • ※4音声波形をデータ化(指紋化)し、放送された楽曲を自動的に特定する技術
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