一般社団法人日本音楽著作権協会 JASRAC

MagazineJASRAC音楽文化賞

第3回JASRAC音楽文化賞受賞者を発表

「JASRAC音楽文化賞」は、売上や利用実績などの数字には表れない地道な活動を行っている個人・団体・作品等に光をあて、音楽文化の発展に寄与した功績を称え顕彰することにより、今後の活動への励みとしていただくことを願い、2014年11月に創設されました。

第3回の受賞者は次の方々に決定し、2016年11月18日、都内で行われた贈呈式にて表彰盾と副賞が贈られました


<第3回JASRAC音楽文化賞 受賞者>
伊藤 京子
三澤 洋史
気仙沼ジュニアジャズオーケストラ「スウィング ドルフィンズ」
山木屋太鼓 様

 

伊藤 京子 様

©Rikimaru Hotta

顕彰理由

別府アルゲリッチ音楽祭の総合プロデューサーとして、同音楽祭を日本有数のクラシック音楽祭に育て、復興支援や子ども支援などのメッセージも発信し、日本の地方都市と世界の音楽界をつなぐ懸け橋の役割を果たしてきた功績をたたえ顕彰する。


受賞者コメント

地方都市から世界の音楽界への懸け橋と評価していただき、大変ありがたく思います。この活動を通して、平和の中で人々がつながり、手を取り合い、支え合い、理解し合うことで、未来に、子どもたちに良い社会を受け渡していくことができると信じて、これからも続けていきたいと思います。

略歴・実績

福岡県北九州市出身。ピアニスト・企画プロデューサー。東京藝術大学、フランクフルト音楽大学を卒業後、海外での演奏活動を活発に行う。1994年、長年親交のあるアルゼンチン出身のピアニスト、マルタ・アルゲリッチと室内楽フェスティバルを企画。各地で成功を収めたのを契機に、別府市の委嘱を受け、企画プロデューサーとして、1998年に第1回別府アルゲリッチ音楽祭を開催。以降、毎年開催を重ね、アルゲリッチ芸術振興財団と、しいきアルゲリッチハウスの実現に寄与した。また、「復興支援CD」や、音楽を通じた子どもの育成のための「ピノキオコンサート」などの企画やエッセーの執筆も行っている。

 

三澤 洋史 様

顕彰理由

合唱団の指導、育成に卓越した力を発揮し、新国立劇場合唱団の専属指揮者として同合唱団を世界有数といわれるレベルに引き上げた功績をたたえるとともに、オペラ指揮者の陰に隠れがちな合唱指揮者の重要性に光を当てる意味も込めて顕彰する。


受賞者コメント

今まで、いいものをつくりたいという一心でやってきました。その中で今回、合唱指揮というものに光をあてていただいたことが、後に続く若い人たちの励みになれば、受賞できた私にとって何よりも嬉しいことです。この賞に負けないように、今後も頑張って続けていきたいと思います。

略歴・実績

1955年、群馬県生まれ。国立音楽大学声楽科を卒業後、指揮に転向し、ベルリン芸術大学指揮科を首席で卒業。オペラ等の合唱指揮者として活躍し、2001年からは新国立劇場合唱団の指揮者をつとめる。合唱指揮者は、稽古を指導するとともに、本番中は劇場の後方から団員に合図を出してオペラ指揮者をサポートする裏方で、スポットライトを浴びることは少ないが、重要な役割を担っている。プロ合唱団や海外のオーケストラの信任も厚く、日本における合唱指揮者の第一人者として活躍している。2014年には著書「オペラ座のお仕事―世界最高の舞台をつくる」を上梓した。

 

気仙沼ジュニアジャズオーケストラ「スウィング ドルフィンズ」 様

顕彰理由

宮城県気仙沼市を拠点に活動する中、東日本大震災に伴う津波で練習場所や楽器、譜面などを失ったが、国内外の支援を得て活動を再開。被災地で演奏し、楽器の寄贈を受けた米国でも返礼の演奏をするなど、音楽の力を復興や交流に生かしてきた元気ある活動をたたえ顕彰する。

受賞者コメント

副会長 菅野 敏夫 様
日本だけでなく海外からも支援をいただいて、今日まで続けてこられました。皆さまがこのような活動を認めてくださることを励みとし、子どもたちがやりたいという限り、できるところまで続けたいと思います。子どもたちをこれからも応援してあげてください。

略歴・実績

1993年、宮城県気仙沼市の音楽家らが、子供たちに音楽の素晴らしさを伝え、音楽活動を通じて協調性や主体性を養い、郷土を愛する頼もしい青少年を育てようと結成。現在は小学5年生から高校2年生で編成され、ジャズを中心に様々なジャンルの曲に挑戦している。2011年3月11日の東日本大震災に伴う津波により、多くの楽器と譜面が流出したが、国内外の支援を受けながら、被災後も各地のジャズ・フェスティバルに参加するなど、演奏を続けている。2013年には米国を訪問し、楽器の寄贈を受けたお礼の演奏を行った。

 

山木屋太鼓 様

顕彰理由

福島県川俣町で旗揚げし、和太鼓の伝統継承と地域に根ざした若者育成の活動を続けてきた。地元が福島第一原発の事故に伴う避難区域に指定された後も、避難所暮らしをしながら練習を重ねて国内外で公演し、復興に向けた力強い意志を表現してきた活動をたたえ顕彰する。

受賞者のコメント

今回の受賞を力に変え、これからさらなる困難の中でも前向きにいろんなことに挑戦したいと思います。地域に根差した団体として、結成当初から変わらない美しい自然や故郷をテーマに、子どもたちと太鼓の音をつないでいけるよう、頑張っていきたいと思います。

略歴・実績

福島県川俣町を拠点に活動している和太鼓団体。和太鼓の伝統継承と、地域に根差す若者の育成と発展を目的に2001年結成された。メンバーは、学業や仕事をしながら和太鼓に取り組み、「美しい自然、そしてここが故郷」をテーマに曲を創作、演奏活動をしている。2016年3月には、インターネットで資金を募る「クラウドファンディング」と、町民を含め多くの支援・寄付で渡航費の一部を工面して、米国ミシガン州にて公演やワークショップを行い、和太鼓の魅力や、復興に向けた自分たちの姿を海外に発信する活動を成功させた。


第3回JASRAC音楽文化賞選考委員(報道社名五十音順)

阿部 毅 氏(朝日新聞東京本社 文化くらし報道部 部長)
加藤 義久 氏(共同通信社 編集局文化部 部長)
吉田 俊宏 氏(日本経済新聞社 編集局文化部 編集委員)
西川 龍一 氏(日本放送協会 放送総局解説委員室 解説委員)
西田 浩 氏(読売新聞東京本社 編集局文化部 編集委員)

推薦協力

一般社団法人 日本新聞協会

2016年11月18日、都内で行われた贈呈式での集合写真