私的録音・録画補償金制度
私的録音・録画補償金制度
著作権法では個人的に楽しむためであっても、MDやオーディオ用CD-Rなど政令で定められたデジタル方式の機器・媒体を用いた録音、録画については著作権者への補償金の支払いを義務づけています(著作権法30条2)。これを「私的録音・録画補償金制度」といい、家庭内などで音楽などの著作物を私的に使用することを目的とした録音・録画に対し権利者への補償金を支払うことを定めたものです。録音については1993年6月から、録画については2000年7月から実施されています。
補償金の支払い方法としては、政令指定を受けた特定機器・記録媒体の製造メーカーなどの協力を得て、ユーザーの皆さまが機器・媒体を購入する際に補償金を含める形で一括してお支払いいただいています。
補償金は、個々の権利者に分配されるほか、著作権制度の知識普及や著作物の創作の振興といった権利者全体のためになるような事業(共通目的事業)に用いられます。
私的録音補償金制度の概要
私的録音補償金の請求、受領は、文化庁長官から指定を受けた私的録音補償金管理協会(sarah)が行っています。補償金は、sarahから著作権者、実演家、レコード製作者を代表する3団体に分配された後、個々の権利者に分配されます(分配方法の詳細についてはこちら(PDF:112KB)をご覧ください)。
著作権者を代表する団体 …日本音楽著作権協会(JASRAC)
実演家を代表する団体 …日本芸能実演家団体協議会(芸団協)
レコード製作者を代表する団体 …日本レコード協会(RIAJ)
私的録音補償金制度の対象となる機器・媒体
現在、政令指定を受け、対象とされているオーディオ製品は以下の機器およびディスク・テープです。
- DAT(デジタル・オーディオ・テープレコーダー)
- DCC(デジタル・コンパクト・カセット)
- MD(ミニ・ディスク)
- オーディオ用CD-R(コンパクトディスク・レコーダブル)
- オーディオ用CD-RW(コンパクトディスク・リライタブル)
(2006年4月1日現在)
私的録画補償金制度について
私的録画補償金の請求、受領は、文化庁長官から指定を受けた私的録画補償金管理協会(SARVH)が行っていましたが、2015年3月31日付で解散したことから、補償金の請求、受領が実質できなくなりました。
私的録音・録画補償金関係の権利者団体による取組み
JASRACは、私的録音・録画補償金の対象外となっている機器の急速な普及により補償金制度が形骸化していることに対し、映像製作事業者や文芸、美術、漫画、写真など私的録音・録画補償金関係の権利者団体等と共同して、同制度の必要性と適正な見直しを訴えています。
2013年12月に、文化審議会著作権分科会「法制・基本問題小委員会」の下に「著作物等の適切な保護と利用・流通に関するワーキングチーム」が設置されるなど、同制度の見直しに向けて取り組む環境が徐々に整いつつあります。
