創造のサイクルとの調和がとれた
AI利活用の実現に向けて
新しい音楽との出会いが続く、
豊かな社会であるために

生成AIが急速に高性能化し普及していく中で、
クリエイターが安心して創作に専念できる
AI利活用の枠組みを実現するためには、
著作権法第30条の4の改正も含めた
抜本的な対応を早急に行う必要があります。

JASRACは、著作権法の改正を求めています

現行法の下では、クリエイターは、「自分の作品を利用してほしくない」という意思表示を汲んでもらう機会(交渉の場)を持つことすらできません。
これは、生成AIの開発のための機械学習は、原則として権利者(作詞者・作曲者や実演家、レコード会社など)の許諾を得ることなく行うことができるとされているためです(著作権法第30条の4)。

生成AIに自分の作品が利用されることについて、JASRACが2026年に実施した音楽クリエイター向けアンケートでは、「反対」、「どちらかといえば反対」と回答したクリエイターが過半を占めていますが、著作権法第30条の4がある限り、事業者は、このクリエイターの声を聴く義務がありません。

人間の個性の発露として創作された著作物は、生成AIのための単なるデータとして取り扱われるべきではなく、少なくとも、学習素材として利用されることの可否をクリエイター等の権利者が判断する機会を設けるべきです(選択の機会の確保)。

生成AIの開発・利用は、創造のサイクルとの調和の取れたものであれば、クリエイターにとっても、文化の発展にとっても有益なものとなり得ます。
しかし、クリエイターの懸念や不安に正面から向き合うことなく現状を放置し、著作物に代替し得るAI生成物が更に大量に流通することになれば、創造のサイクルが破壊され、文化芸術の持続的発展を阻害することが懸念されます。

JASRACは、クリエイターが安心して創作に専念できる、創造のサイクルとの調和が取れたAI利活用の枠組みを実現するために、著作権法第30条の4の改正も含めた抜本的な対応を求めています。

生成AIと著作権の問題に関する基本的な考え方

JASRACの生成AIと著作権の問題に関する基本的な考え方は、以下のとおりです(2023年7月5日理事会決議)。

1 人間の創造性を尊重し、創造のサイクルとの調和を図ることが必要です。

生成AIの開発・利用は、創造のサイクルとの調和の取れたものであれば、クリエイターにとっても、文化の発展にとっても有益なものとなり得ます。
 しかし、クリエイターの生み出した文化的所産である著作物が生成AIによって人間とは桁違いの規模・スピードで際限なく学習利用され、その結果として著作物に代替し得るAI生成物が大量に流通することになれば、 創造のサイクルが破壊され、文化芸術の持続的発展を阻害することが懸念されます。

2 フリーライドが容認されるとすればフェアではありません。

 著作権法第30条の4の規定によって、営利目的の生成AI開発に伴う著作物利用についてまで原則として自由に行うことが認められるとすれば、多くのクリエイターの努力と才能と労力へのフリーライド(ただ乗り)を容認するものにほかならず、フェアではありません。
 そのようなAI開発事業者によるフリーライドが日本においては容認されるとする見解が散見されるため、大きな懸念を抱かざるを得ません。

3 AIには国境がないので、国際的な調和を確保すべきです。

 政府のAI戦略会議がいうとおり、「AIには国境はなく、国際的な流通が容易であり世界中に影響を及ぼし」ますので、「国際的に共通の大きな考え方・ルールの整合性」を確保していく必要があります。G7広島首脳コミュニケで掲げられた「責任あるAIの推進」、「透明性の促進」といった観点から様々な課題に対処すべきです。
 生成AIの学習に伴う著作物の利用について、「著作物に表現された思想又は感情」の享受の目的がないという整理の下に著作権を制限する法的枠組みを持つ国はG7の中で日本だけであり、調和の観点から大きな懸念があります。

4 クリエイターの声を聴き、懸念の解消を図るべきです。

 上記1から3までのとおり、現状では、多くのクリエイターが生成AIについて懸念を抱いています。
 国内の議論を充実させ、国際的な調和を図るためには、クリエイターの意見を広く丁寧に聴くことが欠かせません。
 そして、世界中のクリエイターが安心して創作活動に打ち込むことができるよう、その懸念の解消を図ることが文化芸術およびコンテンツビジネスの持続的発展のために必要です。

AIを利用した作品の取り扱い(ガイドライン)

JASRACでは、AIを利用した作品のJASRACにおける取り扱いや、クリエイターや音楽出版社がAIを利用した作品をJASRACに届け出る際の留意事項をまとめたガイドラインを定めています。     

管理の対象とする作品

JASRACは、AIを利用した作品のうち、人間の創作的寄与が認められるものを管理対象としています。シンプルな指示に基づいてAIが自律的に生成した歌詞や楽曲のように、人間の創作的寄与が認められない作品は、JASRACでは管理しません。

作品に関する委託者による保証

JASRACは、委託者(JASRACと管理委託契約を締結しているクリエイターや音楽出版社)から提出された作品届に基づいて作品の管理を行っています。委託者には、JASRACに届け出る作品について、人が創作的に寄与した著作物であることを保証する義務があります。

海外の著作権管理団体等の生成AIに関する取り組み

海外の著作権管理団体等においても、クリエイターの保護に向けたさまざまな取り組みが行われています。