コロナ禍で出演するコンサートの回数がめっきり減りました。それまでは年間30回、さまざまな障害を持つ仲間たちと一緒にステージで演奏してきました。そのような中、今年(2021年)5月末、パラリンピック開会式での「パラ楽団」の一員としてのオファーを受け、8月24日、新国立競技場の特設ステージに出演しました。天皇陛下が開会宣言をした直後、坂本美雨さんが歌った「いきる」(パラリンピック旗入場曲)とパラリンピック賛歌の演奏です。
当日は、これまでの母との連弾とは異なり、独りで鍵盤の前に座りました。それは演出の要請でもあったのですが、一生に一度の大舞台での、初の試みでした。実は今回、パラリンピック事務局から中々楽譜が届かず、練習できる期間が他のイベントの準備と重なってしまいました。当日まで出演することを伏せていなければならなかったため、相談できる人が少なかったこともストレスの一つでした。仲の良いヘルパーさんにも打ち明けられませんでした。それでも乗り越えられたのは、14歳の時、カーネギーホールで演奏して以降、自分の中で起きた変化の積み重ねによるものかもしれません。



