著作権法の一部改正が成立

 デジタル・ネットワーク環境での著作物利用に対応することを目的とした著作権法の一部改正案が、参院での可決を経て、6月10日の衆院本会議で全会一致で可決、成立しました。施行は平成10年1月1日から。

 今回の改正では、公衆への送信行為全体を指す「公衆送信」に関する権利を著作者に、またサーバーへのアップロードなど公衆の求めに応じ、自動的に情報が送信される状態にする「送信可能化」に関する権利を実演家、レコード製作者に付与しています。これにより、例えば市販CD等を音源とする音楽情報をインターネットなどで送信する場合、著作者、実演家、レコード製作者の許諾が必要となります。

 文化庁が国会に提出した法律案要綱の主な点は次のとおりです。

1 公衆によつて直接受信されることを目的として無線通信又は有線電気通信の送信を行うことを「公衆送信」とし、放送の定義を改めること。(第2条関係)

2 プログラムの著作物については、有線電気通信設備で、その一の部分の設置の場所が他の部分の設置の場所と同一の構内にあるものによる送信を行うことも「公衆送信」とすること。(第2条関係)

3 著作者は、その著作物について、公衆送信(自動公衆送信の場合にあつては送信可能化を含む。)を行う権利を専有することとすること。(第23条関係)

4 実演家は、その実演を送信可能化する権利を専有することとすること。(第92条の2関係)

5 レコード製作者は、そのレコードを送信可能化する権利を専有することとすること。(第96条の2関係)

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スペイン・セビリアでWIPO国際フォーラム

 国連の専門機関である世界知的所有権機関WIPOの国際フォーラムが5月14から16日、スペイン・セビリアで開かれ、60カ国から約400人が参加、JASRACからも職員が著作権情報センターのオブザーバー代表として出席しました。

 このフォーラムでは、デジタル技術の発展にともなうこれからの著作権、著作隣接権の管理について、9つのパネルディスカッションで話し合われ、利用者が権利処理をするための詳細な情報を把握できる権利情報システムや、JASRACのような著作権管理団体がまとまり、様々な権利処理をひとつの窓口で行うことのできる中央管理機構(One−Stop−Shops)が必要であると強調されました。

 WIPOではひきつづき、今回のフォーラムでの意見をもとに、同じテーマで会議を開き具体的に検討していく予定です。

私的録音補償金、上半期分を受領

 JASRACは5月26日付で、私的録音補償金管理協会SARAHから平成9年度分配対象補償金の上半期分として1億9千万円余を受け取りました。

 私的録音補償金は、デジタル方式による録音技術の進歩にともなって家庭内等で高品質な録音が可能となったため、著作者などの利益を妨げないよう、平成4年の著作権法一部改正により私的録音に対する補償金の支払いが義務づけられたもので、MDやDATなど特定の機器、記録媒体の購入時に利用者から支払われています。

 SARAHに支払われた補償金は年2回、JASRAC、日本レコード協会、日本芸能実演家団体協議会(芸団協)に分配され、JASRACは分配されたもののうち2/36を日本脚本家連盟、残りを著作者に分配しています。

 MDの人気などにより分配額は年々上がっており、今回は前年同期比214%余となっています。


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