合唱団を率いて

 作曲のほかに力を入れてきたことで、合唱団の活動があります。最初に結成したのは、音楽学校を卒業してすぐに始めた「PFコール」という混声合唱団で、外国の曲も歌う一般的な合唱団でした。9年ほどして事情があり解散することになったのですが、団員からどうしても合唱団を続けて欲しいと頼まれたので、僕の曲しか歌わない「コールMeg」という合唱団を新たに結成しました。この合唱団は30年ほど続けたのですが、僕は練習では相当厳しかったですよ。遅刻や欠席は一切許さず、練習に遅れる・・・と連絡が入ると、いつも「そこから走ってこい!」なんて言っていました(笑)。その後「コールMeg」も解散してしまうのですが、元団員がまたやって欲しいと頼み込んでくるのです。僕は人望が厚いものですから(笑)。それで結成したのが「メグめぐコール」です。この合唱団の活動は今でも続けていて、月に二度練習をしているのですが、わざわざ九州から来られる方や90歳を超える方もいらっしゃって、そういった方が喜ぶ顔を見ると、僕も嬉しいし、本当に力が入ります。今では「走ってこい!」なんて言いませんけどね。自分が走れませんから(笑)。

 「メグめぐコール」とは別に、「コールグレース」という僕の曲しか歌わない女声合唱団を50年近く続けています。団員は80歳や90歳を超える方も多いのですが、こちらも同じように月に二度練習をしています。今思うと、こういった合唱団での活動が、僕の創作の活力になっていたのだと思います。僕の曲しか歌わないわけですから、合唱団を続けていくには新しい曲を書き上げていくしかないのです。新しい曲を書いていくと「今日も新しい曲があるんですね」と団員は喜んでくれます。それが嬉しくて、どんどん新しい曲を創作してきました。だから、自分で曲を書いたというよりも、団員の皆さんに書かされていた気さえします。

創作で一番大切なこと

 僕は、歌で一番大切なものは詩だと思っています。時々先に曲を作ることもありますが、やはり先に詩があって、その詩に感動して作曲家が曲をつくるものだと思うのです。実は、僕自身も少し作詩をしています。「愛」だとか、「苦しい」とか、「悲しい」とか、そういった言葉をストレートに歌詩にして欲しいと思うことがあるのですが、作詩家の方にお願いすると、恥ずかしいからか別の言葉に言い換えてしまいます。それであればと、自分の気持ちをストレートに表現したい時は“土田藍”というペンネームで自ら作詩をしています。

 作曲をするときには歌詩を見てインスピレーションを得てイメージします。直観的な部分が大きいですね。「同じものを書いてはだめだ」と思いながら作曲をしたことは一度もないのですが、2000曲以上つくってきて、やはり違った曲が出来上がります。皆さん不思議だとおっしゃいますが、自分でも不思議ですね。

著作権について

 JASRACに入会したのは、1960年のことです。細かい経緯は覚えていませんが、既にJASRAC会員であった父親から、入会を勧められた記憶があります。初めて分配を受けたときは、「なぜこんなものがいただけるんだ」と驚きました。著作権は僕たち創作者たちにとって、とても大切なものです。これがないと食べていけませんからね。若手の創作者の皆さんも、著作権というものをまずはよく理解して、正当な権利なのですから、利用できるところは利用していけばいいと思います。

 でも、やっぱり下の世代の方々に何かアドバイスするのは性に合わないな。僕はそういうのが苦手で、音大なんかから指導者としてのお誘いがきても、全てお断りしてきましたからね(笑)。

プレゼント

アンケートにお答えいただいた方の中から抽選で、大中さんの直筆サイン入り色紙と以下のCD・DVDのいずれかをセットで2名様にプレゼントいたします(CD・DVDをお選びいただくことはできません)。

CD「うたとおはなしでつづる Children’HEART Songs」
 2009年4月22日発売
 ビクターエンターテインメント株式会社 VZCC-1019

DVD「歌の誕生 サッちゃん 作曲家・大中恩の世界」
 2006年12月15日発売
 紀伊國屋書店 KKCS-78

※アンケートは終了しました。
たくさんのご応募をありがとうございました。

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