特撮・アニメの作曲は、まず打ち合わせがありまして、企画書と台本2、3冊をもらいます。企画書でこういうヒーローでこういう設定だと説明を受けて、詞ができた段階であらためてその詞と内容にそって主題歌のメロディーを考えます。やっぱり詞に引っ張られて、曲は変わってきますね。最近はメロディーだけ先につくってくれっていうのも多いんですけど、私の場合は、先に詞をもらった方が方向性が明確になり、歌詞によってメロディーラインが誘導されて良い結果が得られることもあります。自由につくってくれって言われても、手法がいくらでもあるわけだから、迷っちゃうんですよね。例えば、『太陽戦隊サンバルカン』は全然宙明サウンド(マイナーペンタトニック)ではないですね。山川啓介さんの詞が素晴らしくて、歌謡曲調で思い切ってやりました。これはね、今でも人気がものすごくあって、コンサートのアンコールでみんな一緒に歌ってくれていますね。お客さんは合いの手まで歌ってくれるんです。『最強ロボ ダイオージャ』なんかは、歌の合いの手にコーラスで「最強!最強!最強!」という言葉が入るんですが、コンサートの聴衆の皆さんはその部分をしっかり歌うんです。「何の打ち合わせもないのにいきなりできるんだ!」って驚いたことがありましたね。そういうのが楽しくてコンサートに行くこともあるんですね。
私の作曲法は、以前はピアノを弾きながらやっていましたが、今は頭の中でメロディーを考え五線譜に書いていきます。こういう動きならこっち、次はこうするかって、視覚と聴覚の共同作業でつくっていきます。メロディーがある程度できてから、コードネームを正確に付ける過程でメロディーもちょっと修正することもあります。劇中音楽に不協和音もつけなきゃいけないときには楽器を使いながらやることもあります。
それと私はトランペットが好きなんですよ。金管楽器は唇の振動によって音を出しているから、肉声的な感じがあるんですね。そうすると、勇ましいものは勇ましく、哀愁のあるものはものすごく哀愁あるように聞こえるんです。エンディングで哀愁ある歌で締めくくろうと思っても、フルートでやったんじゃ、盛り上がってこないですよね。昔は日本のホームドラマにトランペットが入る余地もなかったので、そんなにトランペットを使った記憶はなく、ヒーローものや戦闘シーンで初めて盛大に使ったと記憶していますが、非常に爽快でした。そこから、多用するようになっていったんです。特にヒーローものでのトランペットは、歌いあげるような感じの強さも出るし、強さの中に哀愁を漂わせることもできるんですよね。