音人工房

JASRAC 日本音楽著作権協会

第14回 Carlos K.

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Vol.2 夢の世界と自分の世界が繋がった

作曲のスタイルについてお聞かせください。曲は自然と頭の中に浮かぶことが多いのでしょうか?それとも「よし、作るぞ!」とスイッチを入れて取り組むのでしょうか?

Carlos:どちらもあります。頭のなかのアイデアをまとめて曲を作って、それがテーマに合致するコンペがあれば出品したり、欲しいという人がいれば渡したり。その一方で「こういうものを作って欲しい」というオーダーがあれば、それに合わせていつでも曲は作れます。

最近は自分一人で作ることももちろんありますが、いろいろなアーティストやディレクターがプライベートスタジオに来てくれるので、アイデアを出し合いながら一緒に作ることも多いですね。

作曲が辛い時はありませんか?

Carlos:曲を作るのは、全然苦じゃありません。強いて言えば、パソコンの前にずっと座っているのが肉体的に辛いことぐらいでしょうか(笑)

ご自身で才能を自覚されることはありますか?

Carlos:才能というよりは、勘がいいのかもしれませんね。制作依頼を受けた際に、相手が何を求めているのかをきちんと掴んで音にすることができるのかなと。この感覚は自分のためではなく、人のために作るクリエイターには重要なことだと考えています。

クリエイターは「これが自分の曲だ」と個性を全面的に出すタイプと、コミュニケーションをとるタイプの二つに分かれると思っていて、僕は後者なので、アーティストと相談しながら一緒に楽曲を作っていくのがすごく楽しいです。

ほかにも、僕はけっこうアレンジを仕上げるのが早いんですが、それは「この音とこの音を足すと、こういう音になるんじゃないか」というのが、頭にパッと浮かぶからだと思っていて、絵に例えると「この色とこの色を混ぜたら、この色ができるんじゃないか」といった具合に想像ができるからだと思っています。

その勘はどのように養われたのでしょうか?

Carlos:音楽は言葉と同じく鍛錬が必要で、いきなり自分の中から出てくるものでもないと思うんです。インプットは創作の幅を広げるので、ジャンルを問わずいろんな曲を聴いたり、旅にでて他国の音楽に触れたり、そういったことの積み重ねが自分の糧になっている気がします。でもやはり一番面白いのは、他のクリエイターと楽曲を一緒に作ることですね。たとえば、スウェーデンの作家と一緒に作ったときなどは、聴いていた童謡も、世界観もまるで違うのでとても刺激になりました。

ご自身とゆかりの深いブラジルからは、どんな影響を受けていると思いますか?

Carlos:やはり、自然が豊かなところは大きいですね。楽器を演奏する時も、近隣を気にすることなく音は出し放題でした。また、ブラジルでは欲しいものがすぐ手に入る環境でもなく、「自分でものを作れ」というのが家族の方針だったので、とにかくまずは自分で作ってみるのが当たり前でした。両親は布地から服やカーテンを作るし、山に生えているツルや木でかごや彫刻を作って街で売ったりしていました。僕もテレビゲーム機を買ってもらえず、紙やフィルムを使って人形や地図を作り、お手製のロールプレイングゲームで遊んでいましたから(笑)。そういった経験も、とても大きかったと思います。

ターニングポイントになったと思う作品は、ありますか?

Carlos:遊助(上地雄輔)さんの『今日の花』(作詞:遊助 作曲:遊助/Calros K.)と板野友美さんの『Dear J』(作詞:秋元康 作曲:KEYZ/Carlos K.)です。『今日の花』はシングルCD『ミツバチ』(作詞:遊助 作曲:遊助/N.O.B.B)のカップリング曲だったんですが、日本テレビ系列で放映されていた「ズームイン!!SUPER」という朝の情報番組のテーマソングにもなり、『Dear J』はAKB48に所属していた板野さんのソロデビューシングルとして世間でも話題になりました。

ターニングポイントの理由は、その2曲で1年以上は生活に困らないくらいの収入になったからです。それまでは曲のコンペのために1カ月に20曲ほど作っても、採用されないことも多かったので、映像会社の人に頼んでウェブCMの曲を作らせてもらったり、クラブのシンガーに曲を作ったり、アルバイトもしていました。本当に生活するのがやっとな状況だったんです。当然十分な機材も買いそろえられない辛い状況ではありましたが、ひたすらいろんな仕事に打ち込んでいました。なので、この2曲が日の目を見ることとなり、音楽を続けていて良かったと思いました。

そこから軌道に乗っていったんですか?

Carlos:その蓄えのおかげで、コンペに集中できるようになったんです。そうするとこれまで年に10曲ぐらい採用されていたのが、だんだん増えて月に10曲ぐらいになりました。この2曲で僕の人生は一変しました。自分の名刺代わりにもなりましたし、遊助さんの担当の方が気に入ってくださり、同じレコード会社からデビュー間近だったLittle Glee Monsterの曲を任せてもらえるようになったりと、ますます活動の幅が広がっていったんです。

何か心境の変化はありましたか?

Carlos:「作曲家」になれたんだなと思いました。それまでは「作曲家といっても自称でしょ」みたいな感じだったんですが、「作曲家をやっています」と自然に言えるようになりましたし、周囲も認めてくれるようになりましたから。

自分にとって夢のような世界だった音楽業界に、ついに入れたんだなと。遠く離れていた世界が、自分の世界と繋がったという実感がありました。

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最近はスタジオを出て作業することが多いので、トランク一つに収まる持ち運び可能なコンパクトなシステムにこだわっています。パソコン、USBマイク、オーディオインターフェイス、MIDIキーボード、ヘッドフォン、これだけあればどこでも最高のパフォーマンスが発揮できます。

【使用機材】

  • PC / Apple / Mac Book Pro
  • マイク / APOGEE / Mic 96k
  • ヘッドホン / AKG / Q701
  • オーディオインターフェース / RME / Babyface Pro
  • MIDIキーボード / IK MULTIMEDIA / iRig Keys Pro

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