音人工房

JASRAC 日本音楽著作権協会

第8回 ヒロイズム her0ism

  1. Vol.1
  2. Vol.2
  3. Vol.3

Vol.3 もしその曲を聴かなければ無くなっていたかもしれない明日が、曲を聴いたことによって始まるかもしれない・・・だからこそやるべき事がある

ヒロイズムさんのメロディは、この鍵盤から生み出されているんですね。

ヒロイズム:そうですね。でも、自分はピアニストではないし、プレーヤーとして上手ではないので、一度しか弾けないような“神テイク”がすごく貴重なんです。ピアノだと普通は録音ボタンを押して録音するんですが、「Logic」というソフトは、録音ボタンを押していなくても後から録音結果を取り込むことができるので、大分救われています。ライティング・セッションしているときに「今のいいね」って後ろで言われたことがあったんですけど、次に弾いたテイクは違っていて、そのときにドイツ人作家にそういう機能があることを教えてもらいました。

偶然の産物が多いんですね。

ヒロイズム:ほとんどが偶然の産物ですね。そうじゃないと自分が面白いと思えるものは創れないと思うんです。全て計算して出したものよりは、自由に鍵盤を弾きながら「えっ、今の何?」って思ったものじゃないと飽きちゃいますし。

そうすると、自分が面白いと思うまでかなりの時間をかけて創る作業になってきますよね。

ヒロイズム:一人で創っているときは良い曲ができるまでひたすら創ります。それしか良い曲を創る方法はないと思います。コライトは時間が限られているし、その場をハッピーにすることも大切なので、瞬発力が求められます。「ちょっと待ってね」って、ずっと考えて良いものを出したとしてもその場はハッピーにはなりません。コライトで瞬時に良いものを出せるような経験を積んで、最近ようやく一人のときとの制作時間の差はなくなってきたと思います。

美しいメロディを創る方法はあるんですか?

ヒロイズム:美しいメロディと言ってもらえることはすごく嬉しいです。でも、美しさを求めている訳ではないとも思います。自分の中でも美しいものは多分変わっていくと思うんです。常にクリエイターとしての感性を研ぎ澄まして、そのときの自分の思いを作品に込めているので、その結果としてそう言ってもらえているのかなという気がします。どれだけ良いものを創りたいかというモチベーション次第なんだと思います。

モチベーションをずっと持ち続けることは大変だと思いますが、どうやって維持されているんですか?

ヒロイズム:誰かに言ったら、それは叶わないだろうっていうような夢を常に持って、本気で追いかけている事が大きいのかなと思います。

それは作詞家としてのヒロイズムさんの詞にも表れていると思いましたが、いかがですか?

ヒロイズム:その方が書きやすいし、リアルに響くと思います。夢のある仕事をさせてもらっているので、エンターテインメントの世界では夢について歌うべきだという思いはあります。それと、自分が夢に向かって挑戦している最中だからこそ出てくる言葉があるので、ファンの方から感想をもらって、「そう思って聴いてくれていたんだ」ってあらためて自分の音や言葉を見直したりもします。また違う見え方ができると、歌に救われたと思うことが多いですね。

たとえばどんな違う見え方ができたりしましたか?

ヒロイズム:東日本大震災のときも思いましたが、水とかと違って、本来歌は無くても良いものかもしれないけど、人々の生活を彩ったり、人の命を救えたり、もしその曲を聴かなければ無くなっていたかもしれない明日が、曲を聴いたことによって始まるかもしれない。だからこそやるべき事があると思ったんです。夢の歌も一緒で、決して夢を持たなければダメだよとは言いたくないし、頑張れとも言いたくないけど、夢を持ってみたら持たなかったときには出会わなかった光に出会える可能性がある訳ですよね。自分も何回か夢を諦めたし、ここまで決して楽に来たわけではないけど、常に自分自身が楽な状況にないからこそ出てくる歌詞やメロディが、誰かの希望や夢の手助けになれたらと思っています。

普段、著作権を意識されることはありますか?

ヒロイズム:クレジットに対する意識はすごくあります。海外の作家と仕事をしていると、特にアメリカ人は著作権の意識が強いので、曲を創り終わった後に必ずシェアを何パーセントにするかという話し合いになります。みんなASCAPやBMIなどの著作権管理団体に入っているし、弁護士も同席したりして結構生々しい主張をするんです。でも、自分が創った曲を守るっていう意識が強いのは、その生みの苦しみがあるわけで、日本でそこまで主張するのは難しいのかもしれないけど、それをきちんと守っていくことはすごく大事なことだと思っています。最近は音楽の使われ方が多様化していて、インターネットも発達している中で、自分で管理できることは限られていると思うので、JASRACに預けて管理してもらっています。

日本の若いクリエイターの著作権への意識については、どう感じていますか?

ヒロイズム:著作権のことを知らない人たちが明らかに多いと思います。なるべく周りの作家には、信託することの大切さを伝えて勧めるようにはしていて、知り合いの作家も何人かJASRACを紹介しています。

JASRACオリジナルキャラクター
「ジャスラ」のぬいぐるみと一緒に

ヒロイズムさんは現在信託者ですが、会員になってJASRACの運営に関わっていきたいとお思いですか?

ヒロイズム:会報は毎月読んでいますし、JASRACの運営に参加して変えていきたいという気持ちを持っています。ただ、今は海外に年4回行っていることもあり、総会などにどれだけ出席できるかというところもありますので、タイミングをみています。

今後の活動における夢などについて教えてください。

ヒロイズム:30代でグラミー賞を取るのが夢です。それがアメリカに行っている一番の目的なので、グラミー賞を取れるアーティストに曲を提供したいです。

最後にプロを目指す若いクリエイターにメッセージをお願いします。

ヒロイズム:曲は技術じゃなく、生き様のようなものだという気がしています。もちろん最低限のコードや一般的な音楽の知識はあった方が良いですが、プラスαとして自分にしかないものがあったら強いと思います。そこで何をするかということになりますが、自分自身に関しては、周りに常にすばらしい作家の方々がいる環境の中で、それをチャンスだと思ってメロディを鍛えてきましたし、海外では第一線で活躍する作家とのコライトやリアルタイムな情報の収集をしながら日本での活動の強みにしています。そういう一定の知識とこれは負けないというプラスαを身に付けて夢に向かって挑戦し続けてください。

(2014年8月公開)

Information

ever.yでは、未来の音楽シーンを彩る作詞家・作曲家・トラックメーカー・歌手を募集しています。詳しくは、コチラをご覧ください。

リリース情報

「Naughty」<Album>/宮田和弥
『口ずさめば』(作詞)/『ドンギバ!』(作詞)/『キミのいない明日』(作詞)/『虹』(作詞)
2014年7月23日発売
『無口なライオン』(作曲・編曲)<Single>/乃木坂46
2014年7月9日発売
『夏なんて』(作曲・編曲・プロデュース)<Single>/WHITE JAM
2014年6月25日発売
『君色デイズ』(作詞・作曲・編曲)<Single>/Honey L Days
2014年4月16日発売
『夢がさめて』(作曲・編曲)<Single>/松田聖子&クリス・ハート
2013年10月30日発売
「Hello」<Album>/チョー・ヨンピル
『君に逢えば』(作詞・作曲)
2013年10月16日発売
『WANNA BEEEE!!!』(作曲)<Single>/Kis-My-Ft2
2012年8月15日発売
『チャンカパーナ』(作曲)<Single>/NEWS
2012年7月18日発売
『Be…』(作曲・編曲)<Single>/Ms.OOJA
2012年2月29日発売
「Wonderful Life」<Album>/JUJU
『Wonderful Life』(作詞)
2007年10月10日発売
『LIFE』(作詞)<Single>/中島美嘉
2007年8月22日発売

Present

こちらのアンケートにお答えいただいた方の中から抽選で5名様にヒロイズムさんのサイン入りCDとサイン色紙をセットにしてプレゼントいたします。

※応募は締め切りました。たくさんのご応募ありがとうございました!

ページ上部へ

  1. 1
  2. 2
  3. 3

トップに戻る

  1. Vol.1
  2. Vol.2
  3. Vol.3