- ●東山 倫人さんからのメッセージ
「追想」をテーマにしたアルバムとして構成しました。各曲の解説です。
- ■丘の上のチャペル
人生の新しい門出に夢膨らむ日、高原に建つチャペルでは、幸せに満ちた二人を祝福する鐘が鳴り響きます。
- ■妻
気が付くと、横で眠っている妻の顔に十六夜の月あかりがさしていた。不思議な縁で夫婦となり、いつのまにか年月が過ぎた。いつまでも少女のようなあどけなさが残っていて愛しく感じる妻である。互いにさまざまな試練を乗り越えて来たことに感慨深く指折り数えていると、枕もとには時を運ぶ風が流れていた。
- ■山の向こうに
山の端をゆっくりと流れゆく白い雲。あの山の向こうに何があるのだろう。胸をときめかせた少年のころを思い出す。
- ■獅子吼の風
遥かかなた日本海へと流れがきらめく扇状地の上空に、爽やかな風をうけて、恋人たちのロマンをのせたツインのパラグライダーが浮かんでいます。この空は、夜になると銀河を渡り飛ぶ白鳥座が広がります。
- ■終止符
恋人同士。ささいなことで気まずくなって別れのメールを打ったのに、アドレスにピリオドがひとつ抜けていて届かなかった。たった一つの点が二人の運命をテンで違う方向に変えるかもしれない悪戯なピリオド。
けれども、互いのわだかまりに終止符を打てたとき、二人の恋に終止符はなくなるのです。もういちど逢いたい・・・。
- ■傷心譜
山里深く分け入れば 山ふところの小春日は ススキの光る野となりて
秘めたる恋の夢の跡
恋多き大正の挿絵画家、竹久夢二が、病弱な恋人「彦乃」とともに逗留したという湯涌温泉を尋ねてみると、二人の恋の夢の跡はススキの穂が秋風に揺れ光る静かな山里でした。
- ■虹色の夢
雨上がりの空に虹がかかっている。少年の夢は、この虹のように美しくつきない。
- ■母さん
ススキの揺れる山里で母の背中で揺れて眠った日もあった。つい近頃まで、すっかり老いた愛しい母の姿があったのに、今では面影の中でしか逢えなくなった。
- ■夢見るコスモス
小高く広がる平原に、色とりどりにコスモスが咲き乱れている。秋風に揺れるコスモスたちはどんな夢を見ているのだろうか。
- ■夕映えの渚
打ち寄せる波に静けさを漂わせながら沈みゆく夕日。夕映えにきらめく渚を歩く恋人たちのシルエットがある。
- ■水色の朝
朝もやが冷たい空気がほほをなでる森に、木漏れ日が光の筋となって差し込み、森の仲間たちが「おはよう」と声を掛け合っています。
水色のように爽やかなうれしい朝がやって来ました。
- ■窓辺に
白い出窓に春の穏やかな陽射しを受けて置かれた一つの鉢に、アザレアの花が咲き、そよ風に揺れています。その花びらのほっこりとした淡い色は、傍らのゆりかごにすやすやと寝息を立てて眠っている乳児の肌の色のようで、汚れを知らない天使を見ているようです。
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