平成8年度徴収実績は906億円

 平成8年度の徴収実績がまとまりました。総額は、通信カラオケの清算使用料72.0億円を含む906.3億円。前年度に比べ80.1億円の増額となりました。この清算使用料の入金見込みで変更された徴収目標924.8億円に対しては、98.0%とわずかに及びませんでした。実績の主な内訳、対前年度比は次のとおりです(単位:億円/比率:%)。
    演奏 ・・・・・・ 270.6(108.0)  
    録音 ・・・・・・ 493.3( 97.0)  
    出版 ・・・・・・・ 21.0(110.4)  
    貸与 ・・・・・・・ 47.1( 99.1)  

 演奏では、重点事業である「カラオケ」が98.6億円、使用料規定の改定で年次で料率が増えている「放送」が102.8億円と、対前年度比それぞれ7.8%、10.9%の伸びを示しています。「演奏会等」についても催物の減少がつづくなか、未収金回収などを積極的に推し進め、10.4%の伸びとなる19.2億円を徴収しました。
 録音は、昭和56年以来の前年度実績割れとなりましたが、主な原因は下半期のオーディオディスク生産、またレーザーディスクの通信カラオケ移行に伴うビデオグラム生産の落込みによるものです。
 なお徴収実績の総額には、私的録音補償金管理協会SARAHから受け取った平成7年度分の補償金2.4億円が含まれています。


1997年JASRAC賞決まる

 1997年JASRAC賞が次のとおり決まりました。この賞は、カラオケなど社交場等での演奏、CDをはじめとする録音、また放送、出版、CDレンタルなどあらゆる分野において音楽の利用者から支払いを受けた著作物使用料の年間分配額の多かった作品に贈るもので、関係権利者に対しその功績と栄誉を称え、JASRACへの貢献に感謝し、顕彰するものです。15回目となる今回は、平成8年4月から平成9年3月までの1年間における分配額を対象にしています。
 なお金、銀、銅賞作品の製作・販売レコード会社に対しても、各受賞作品の公表、普及に尽くした功績を称え、JASRACへの貢献に謝意を表すため、感謝状を贈っています。


 金賞(国内作品の分配額第1位)
 「DEPARTURES」
 作詞・作曲 小室哲哉
 音楽出版 株式会社プライム・ディレクション
 レコード会社 製作:エイベックス・ディー・ディー株式会社 販売:日本クラウン株式会社
 歌唱 globe

 銀賞(国内作品の分配額第2位)
 「名もなき詩」
 作詞・作曲 桜井和寿
 音楽出版 株式会社フジパシフィック音楽出版 有限会社烏龍舎音楽出版
 レコード会社 製作:株式会社トイズファクトリー 販売:株式会社バップ
 歌唱 Mr.Children

 銅賞(国内作品の分配額第3位)
 「I’m proud」
 作詞・作曲 小室哲哉
 音楽出版 株式会社バーニングパブリッシャーズ パイオニア音楽出版株式会社
 レコード会社 製作・販売:パイオニアLDC株式会社
 歌唱 華原朋美

 国際賞(同賞受賞歴のない国内作品のうち、外国入金の分配額第1位)
 「新ルパン三世 BGM」
 作曲 大野雄二
 音楽出版 日本テレビ音楽株式会社

 外国作品賞(外国作品の分配額第1位)
 「FLY ME TO THE MOON」
 作詞・作曲 B.HOWARD
 原出版者 HAMPSHIRE HOUSE PUBLISHING CORP.
 下請出版者 ティー・アール・オー・エセックス・ジャパン株式会社
 訳詞 漣健児


「カラオケ教室不法録音物対策委員会」が発足

 蔓延するカラオケ教室での不法録音物の本格的撲滅に向けて、音楽産業関係10団体は5月7日「カラオケ教室不法録音物対策委員会」を発足させました。構成団体は次のとおりです。

 JASRAC/日本芸能実演家団体協議会(芸団協)/日本レコード協会/音楽出版社協会(MPA)/日本音楽事業者協会/音楽制作者連盟/日本歌手協会/日本音楽作家団体協議会(FCA)/日本レコード商業組合/全国レコード卸同業会

 カラオケ教室で生徒の練習や講師の指導用などのために市販CD、あるいは講師のピアノ演奏などにより録音・頒布される不法録音物について、日本レコード協会、芸団協、JASRACの権利者3団体は平成5年以来、教室への啓蒙文書の送付、カラオケ専門誌、スポーツ新聞への啓蒙広告の掲載等、地道なキャンペーン活動を行ってきましたが、不法録音は依然後を絶たず、撲滅のための活動を全国展開するため、共通の立場に置かれている音楽産業関係10団体が結束して本格的な撲滅活動に乗り出すことになりました。  5月14日の第1回実行委員会では、調査、啓蒙、摘発、また広報活動をどのような体制で行っていくかなどが検討されました。
 なお実行委員会の事務局は日本レコード協会内に置かれます。


「音楽文化協議会」が発足

 文部省、文化庁は、CDなどの再販制度存続の必要性を今まで以上に広く訴えるため、音楽産業関連14団体とともに「音楽文化協議会」を発足、第1回の会議が5月14日、ホテルオークラで開かれました。
 再販制度のための運動は、これまでレコード協会、芸団協、JASRACなど音楽関連10団体で構成する「音楽文化懇談会」を中心に推進してきましたが、文部省、文化庁の呼びかけで発足した今回の協議会には、懇談会の10団体のほか日本作曲家協会、日本作曲家協議会、日本作詩家協会、日本作編曲家協会が参加、官民一体で運動に取り組むことになりました。
 第1回の会議には小杉隆文部大臣、吉田茂文化庁長官、小野元之同次長らとともに、構成団体のうちJASRACなど11団体の各代表が出席、小杉文相は「CDなどを全国どこでも同じ価格で購入できる再販制度は、多様な音楽文化の保護と地域による文化格差の解消に役立っている」、また高野レコード協会会長は「日本における世界有数の販売タイトル数は、再販制度があってこそ。個人の多様なニーズに応えるだけでなく、貴重な芸能音楽の後世への伝達や学校教育にも重要な役割を果たしている」と同制度存続の必要性を強調しました。
 なお音楽文化懇談会は、政界への陳述など、これまでの活動を継続していきます。


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