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僕は、ヤマハなどの音楽教室に通っていた「ピアノ世代」ではないので正式なピアノ教育は受けていないんですが、シンセサイザーが発売されて間もない16歳頃に、ローランドから発売されたシンセの1号機を手に入れて自分で練習していました。それまで、教育の一環としてバイオリンを習っていましたが、他と違うクリエイティブなことができる楽器としてシンセが魅力的だったんです。
当時のシンセはまだ単音しか出ませんでしたが、学生時代に「あいつがシンセを持っている」ということで、友達のやっているいろんな洋楽のコピーバンドに参加していました。プログレッシブ・ロックやハードロックの中でも、ディープ・パープルやイエスのようにキーボードが入っているバンドが好きでしたね。僕にとっては、キーボードのテクニック的には同じでも、R&Bやジャズといったアメリカの音楽より、イギリスのロックの方がなんとなく「クラシック」の匂いがしてとっつきやすかったんです。
アメリカのロックに惹かれるようになったのは、小林克也さんがやっていた「ベストヒットUSA」という番組で紹介されていたトトやジャーニーなどのバンドを見て、キーボードプレーヤーのプロとしてやっていく上で自分なりの落としどころが見つかってからですね。イギリスでもカルチャークラブやデュラン・デュランが出てきて、「こうすればキーボードをバンドの音に混ぜられる」というのが分かったんです。
クラフトワーク、タンジェリン・ドリームといったシンセを使って実験的な音楽をやっているバンドも好きでしたが、当時はキーボードプレーヤーのテクニックの華麗さに憧れていたので、シンセのつまみをいじって入りこむようなスタイルはあまり魅力的ではなかったですね。ロックの主役だったギタリストへの対抗心というか、「キーボードをなんとか前に出したい」っていう気持ちがありましたから(笑)。
TM NETWORKとしてプロになってからも、「ロックバンド」という意識がありましたから、レコードのセールスよりもスタジアムへの動員数が気になったし、KISSやクイーンなどのショーアップされたド派手なパフォーマンスを見て、「ああいうものができたらいいなぁ」と思っていました。

「ロックバンド」だったTM NETWORKのサウンドがダンスミュージックにシフトしていったのは、1988年頃にロンドンに1年間住んだ経験が大きかったです。
当時、ロンドンでは後に「ユーロビート」と呼ばれるダンスミュージックがブレイクしていて、デッド・オア・アライブやカイリー・ミノーグを手掛けたストック/エイトキン/ウォーターマン(PWL)というプロデューサーチームが全盛でした。彼らの作るサウンドの前へ前へと進んで行く「疾走感」が、生音のロックに比べて格段に新鮮だったんです。
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僕がいわゆる「ユーロビート」に出会ったのはレコードでもラジオでもなく「ディスコ」だったんですね。当時はロンドンで「ミニストリー・オブ・サウンド」という巨大ディスコがオープンした頃で、ソウルミュージック的な音ではなく、「PWL」に代表される打ちこみで作られたダンス・ミュージックがヒットして、一気に大衆化していました。
ロンドンの知り合いから紹介されてPWLのスタジオに遊びに行かせてもらった時にカイリー・ミノーグのデビューアルバムを発売日の前日にもらって喜んでいたんですが、その時に聞いた「このレコードは、100万枚(ミリオン)出荷されるから」という話がもの凄くショックでしたね。発売前に100万枚売れることが分かっているという事実は当時の僕にとって、KISSやクイーンのライブステージ以上に衝撃的だったんです。
PWLのスタジオで、ドラムマシンやボーカルをいじるマシンの使い方を親切に教えてもらったんですが、「たったこれだけで作るんだ」というくらい、3台位のマシンで音を作ってレコードにしてしまうんです。TM
NETWORK時代から「YMOチルドレン」としてパソコンを使って音楽を作っていましたが、PWLの音作りを学んでからは、より一層「コンピュータができること」を念頭に置いて音楽をつくるようになりましたね。
コンピュータで音楽を作ると、機械のせいでサビのメロディが自然と転調されてしまったり、リズムも滑らかなものでなく16ビートでスタッカート気味になってしまったりするんですが、これが結果として面白い音作りにつながるんですよ。ロンドンからの帰国後、TM
NETWORKの曲をダンスミュージックとしてリミックスしたレコードを出しましたが、これは日本で初めてのリミックスアルバムだったと思います。 |
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今年の7月にスペインのイビサ島という、ヨーロッパのクラブカルチャーの中心とさ
れる所に行ってきましたが、お客さんには50代の人も相当いて、日本では考えられな
いくらい年齢層が高いんですよ。
クラブ・ミュージックも音によってお客さんのカラーがあって、「トランス」は若い
人が多いですけど、ラテンっぽい「ハウス」では年齢層が高くて、あまり若者の雰囲
気はないけど、枯れた雰囲気はなくて盛りあがっていましたよ。
今の日本のCDセールスでは「ドーナツ化現象」というか、10代後半〜20代位の方は
あまりCDを買ってなくて、30代〜40代や小学生、中学生の方が購買層として強く
なっています。30代や40代の方はもともと若い頃に音楽を買う習慣のあった方達です
から、生活にも余裕が出てきて「CDくらいなら」という感じで買ってくれているん
でしょうか。
60年代〜70年代に生まれた30代〜40代の方は、詞の世界や音作りの緻密さなど音楽の
「クオリティ」を分かってくれる世代だと思うんです。
だから、僕もその世代向けの音楽が必要だと感じています。ただ、日本では40代がク
ラブに遊びに行くかっていうと難しいのかもしれないけど、コンサートにもどんどん
足を運んでほしいですね。
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[TKリリース情報]
「GABALL」
01年に結成した小室哲哉、DJ DRAGON、映像作家原田大三郎からなる トランステクノユニット DVD+CD「UP GRADED」 R&C Japan LTD.より発売中
価格:¥4,800 (税込) |
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TM NETWORK
「LAUGH&PEACE 笑いはニッポンを救う。」キャンペーンソング
「CASTLE IN THE CLOUDS」
2002年10月30日 R&C Japan LTD.よりマキシシングルを発売予定。
価格:¥1,260 (税込)
「TK Presents Synthesized
Trance Volume.1」
2002年11月20日 TSUTAYA RECORDS限定販売
R&C Japan LTD.
価格:¥1,890 (税込) |
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こちらで実施しているアンケートにお答えいただいた方の中から、抽選で2名様にエイベックス株式会社からご提供いただいたglobeのボールペン付ネックストラップをプレゼントいたします。
応募締切日:2002年11月30日
(プレゼントの応募は締め切りました。たくさんのご応募ありがとうございます。)
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