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メロディが浮かぶのは、音楽とは全然違うことをしてたりするとき。例えば渋滞にはまっているときとか、あぁ、やっぱりこれかなぁとか、何回か来るものがあるんですよ。いくつか考えても、スムーズにそればっかり出てくるのはいいメロディかな。レオパレスの歌(レオパレス21のCMソング『それぞれの夢』)とかはそうですね。ちょうど母が亡くなった後で、写真整理したりとか、兄弟が一人暮らしをするので引越しを手伝ったりとか、そんなときにあのメロディに自分も勇気づけられる気がして、やっぱこれかなって。自分の気持ちがどこにあるかってことは重要ですね。お葬式の後にはどうしても悲しい曲になるし、ハイテンションな時はそういう仕上がりになる。だってハワイに行ったらハワイの写真しか撮れないでしょう。寒い雰囲気出したいんだけど、っていってもヤシの実写っちゃってるよっていう(笑)。歌も、気持ちを切り取る作業なので、その気持ちの中にいたほうがいい。だからよく恋しろなんて言われるんですよ。何回すればいいんだよって話で(笑)。
スランプ?いつもですよ!(笑)毎回、うわっ、これだめだなって思う。で、別なのを作ってみて、3曲目くらいにできたのを聴いて、うわっ、天才だなみたいな(笑)。前の2曲はこんなに時間かけて苦労したのに無意味じゃんって思うんですけど、3曲目ができるのはその無意味をやったから。だから1曲目が時間かかっても、無意味になるなって思いながらも、仕上げるようにしています。メロディだけなら簡単なんだけど、アレンジして、音も入れて、ギターも弾いて、出来上がって最悪〜、みたいな感じになるんですよ。でも捨てるのは早い。「もうあり得ない」と思った次に、「だから違うんだよ、こうなんだよ」ってなる。超短期のスランプですけど、毎回ですよ。いつも思ってます、もうこれでできないんじゃないかなって。ひらめきには何の保証もないですから。ただ、年とともに、「この曲は出したらダメだ」っていうのはわかるようになりましたね。 |
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最近CD(『前ノリ』)を出したんですが、最初Google+(Googleが運営するSNS)で秋元さんが「ヨシマサ早く曲書け」って書き込んで、その返事ですごいくだらない歌を載せたのが始まり。そしたら秋元さんが面白がって、本来の発注とは別に曲を書けって言われて、そのうち見てくれる人も面白がって、それでライフワークのように曲を書くようになったんです。でもディレクターも何も通さないでパッと思ったものを載せるのは、すごいリアル。内容は超バカバカしいものが多いんですけど、昔インディーズで目指したリアリティとはまた別のリアリティで、面白いです。そこから話が発展して、ライブもやりましたし、さらにはCDを作ってカラオケにも入りました。筒美京平さんが「裏方は絶対表に出ちゃだめだ」とおっしゃってましたけど、僕は出ちゃった(笑)。
こういうのも新しい形ですよね。今後は、こんなふうに面白いものをなるべく早く出していきたいですね。時間をかけて作り込む良さもあるけど、作って、すぐ出して、いろんな人に歌ってもらうとか、今後はそういうスタイルがもっと発展していくと思います。 |
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JASRACに入ったのは、最初に入った事務所で勧められたからです。当時は作曲やるならJASRACに入るのは当たり前でしたね。今の若い人、入らない人が多いんですか?入れよ(笑)。著作権は、特に僕ら島国の人たちは緩い感じがするので、ルールがよくわかっていない人が多いじゃないですか。だから入ってみて、ああ、こういうところ(カラオケなど)からもちゃんと徴収してくれてるんだなって思いましたね。歌謡曲はヒットが短命だから、忘れたころに分配があったりすると、ありがたいですよ。CDのセールスだけだったら、今頃違う仕事してます。もっと堅い仕事。石材店とかね(笑)。 一回作ったものは、もう作れないですからね。よく「あれと同じようなの作ってよ」とか言われますけど、その時はその時の、自分なりの答えがあって作れたわけで、今同じのはちょっと無理。だから作ったものは、やっぱり守ってもらいたいですよね。 違法ダウンロードに関しては、対策はJASRACの方で固めてもらって、僕らは、それでも買いたいって思わせるものを作るしかないかなと思っています。 |
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作曲をやっていくなら、自分が発信したいものを、身近で受け止めてくれる人を対象に作り続けていくことが大事かな。その人があきらめない限りは、自分もやめられないじゃないですか。ディレクターでもいいし、同級生でも家族でもいい。僕にとってはそれが秋元さん。あの人は本当にあきらめないので、自分も引っ張られて続けられる。今見ててかわいそうだなと思うのは、コンペでも事務所とのやりとりでも、曲をファイルで送るだけで、ディレクターとの会話がなかったりすること。でも結局は人づきあいだから、あきらめずに“続けられる相手”を探すことですね。
AKBが売れてるから書こう、とか思っているとボツになった瞬間やめたくなっちゃう。やめるのが一番どうしようもないんですよ、この仕事は。次から次とやっていくうちに、ちょっとずつ、また作れるかなっていう感覚の芽は育つ。そしたらJASRACにも入ろうと思うんじゃないですかね。たぶんみんな自信がないんですよ。JASRACに作家を励ますようなサポートシステムがあるといいですよね。「おまえ最近いいぜ!」「あのメロディ泣けたよな、じゃあね!」って電話してあげるとか(笑)。そのかわり、ダメなこともはっきり言う。「あのサビあり得ないよ!」(笑)。みんな孤独ですから、作家は。 |