作家で聴く音楽 JASRAC会員作家インタビュー
JASRAC
第一回大野雄二
interview
1 2
大野雄二氏プロフィール
1941年5月30日静岡県熱海市生まれ。
小学生でピアノを始め、高校時代にジャズを独学で学ぶ。慶應大学在学中はライト・ミュージック・ソサイエティに在籍。藤家虹二クインテットでプロとしてのキャリアをスタートさせ、その後、白木秀雄クインテットを経て、自らのトリオを結成。解散後は、数多くのCM音楽制作を経て、「人間の証明」などの映画やテレビなどの音楽も手がけるようになり、数多くの名作を生み出している。代表作は、「ルパン三世」(1977年第2シリーズ〜現在)、「犬神家の一族」、「大追跡」など。
現在は、毎年放映されている「ルパン三世テレビスペシャル」などの作曲活動のほか、再びピアニストとしてジャズクラブなどで演奏している。「ルパン三世」のセルフカバーであるジャズコレクション『LUPIN THE THIRD JAZZ』(バップ)シリーズがヒット中。
LUPIN THE THERD JAZZ

大野雄二さん直筆サイン色紙を抽選で3名様にプレゼント!
著作権やJASRACの仕事についてご案内する「JASRAC PARK」で実施しているアンケートにお答えいただいた方の中から、抽選で3名様に大野さんの直筆サイン色紙をプレゼントします。
応募締切日:2002年5月31日
(プレゼントの応募は締切りました。たくさんのご応募ありがとうございます。)

HOMEPAGEへ戻る


Simple & Impressive
作家としての原点は「コマーシャル」作家ってことだね。

「アメリカ」がもたらした音楽との出会い
 僕は別に音楽一家に生まれたわけじゃなく、たまたま自分が突然変異的に音楽が好きだったんだ。実家が熱海で「大野屋」っていう旅館をやっていて、戦後まもなく連合国軍の保養施設として接収されたの。当時、僕は4、5歳だったんだけど、ラジオで流れる曲もアメリカのポップスが多くなってきたし、ダンスホールのパーティでも、タンゴ、シャンソン、カントリーetc当時の言葉でいう「軽音楽」(笑)、クラシック以外の音楽は何でもかかっていたね。子供の頃に、そうした雑多な音楽に触れたのは、大きかったよ。
 しばらくたって、大学時代にアルバイトでバンドのピアノを弾く機会があって、立川や青森の三沢などの米軍キャンプを回ったことがあるんだ。基地によって雰囲気も全然違うんだけど、立川のキャンプで演奏した時には「葉巻とミルク」の匂いが強烈だったのが忘れられないね。肝心の音楽なんだけど、僕らがスタンダードのジャズを演奏しても全くウケないんだよ(笑)。
 「アメリカ人=ジャズ好き」って思っている人も多いけど、実際はそうでもないよ。どっちかっていうと、カントリーが好きな人の方が多いんだ。だから、カントリーバンドが演奏すると、冬なのにピンクの半袖シャツ着た60過ぎのおばあちゃんが、テーブルの上で踊りだしちゃって、もう大変な騒ぎになっちゃうの(笑)。

高校時代のスゴイやつら
大野雄二  僕がジャズを好きになったのは、日吉にある慶應高校に入ったのが、決定的だった。もう、ビックリしちゃう位、音楽が好きな奴はたくさんいるし、高校生なのにプロ活動している先輩がいたりして「どうなってんの?この学校は」って。当時、高価で手が出なかったレコードを輸入している卸会社の息子もいて、そいつなんかは子供の頃からジャズのレコード聞いているから、センスがメチャ良いんだよ。レコードの世界の人は神様だけど、自分の身近にスゴイ人がたくさんいたから、刺激をうけたよね。
 高校に入ってジャズを始めた頃に、ベニー・グッドマンやルイ・アームストロングが来日したんで、見に行ったりした。
 大学の頃になると、アート・ブレイキー、ホレス・シルバーといったモダンジャズのビッグネームが来日するようになったんだけど、あこがれの「神様」達が目の前で演奏しているのをみると、ホントに「夢じゃないか?」って思ったよ。
 大学を出てプロのピアニストになってから、海外のミュージシャンと共演する機会があったけど、「基礎がしっかりしていなきゃ、ダメだ」って痛感した。当時の日本のジャズ界では、海外のミュージシャンに「追いつき、追い越せ」みたいな風潮があったけど、「表面的なテクニックだけ磨いてもダメ」ってことを彼らから教えられたんだ。

作家としての原点は「コマーシャル」音楽
 大学を出た時には、「ジャズのピアニストにでもなるか(笑)」と思っていたから、作曲家になろうなんて全然考えていなかった。
たまたま、人から「CM(コマーシャル)の曲を書いてみませんか」って言われたのがきっかけ。それが、たまたま気にいられてうまくいっちゃったわけ(笑)。
 CM音楽の世界っていうのは、「ここで、何秒であわせろ、なんとかしろ」って無理難題の注文がくる細かい仕事。その後、ドラマの音楽もやったけど、僕の作家としての原点は「コマーシャル」作家っていうことだね。
 人から頼まれたものを注文通りに作って「これでどうだっ!」って、相手の要望に応える「商業作家」だよ。自動車、お菓子、保険会社、いろんな会社のCMの曲を書くためにはあらゆる音楽を知ってなきゃいけないんだ。例えば、カレーのCMで「インド風の曲を書いて」っていう発注がきても、「できません」とは言えないよね。
 だから、ジャズだけじゃなくブラジル、スペイン、フランス…いろんなジャンルのレコードを買ってたよ。昔、青山にあった「ハイドパイパーハウス」っていうレコード屋で、いつも大きな紙袋2つ分買って「こんなに買うんですか」ってお店の人が呆れる位にね(笑)。その当時、自分が好きだったのはジャズのエッセンスが入った「ブラック・コンテンポラリー」。例えば、クインシー・ジョーンズやスティービー・ワンダー辺りかな。


NEXT
 

copyright(c)2002 JASRAC ALL Rights Reserved