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【CISAC Global Collections Report 2023】世界から見た日本の使用料徴収額

CISAC(著作権協会国際連合)による「世界徴収レポート」

CISAC(著作権協会国際連合)は、CISACに加盟する世界中の著作権管理団体の前年の使用料徴収額を基に、毎年「CISACグローバルコレクションズレポート(CISAC Global Collections Report)」を発行しています。このレポートでは、音楽、映像、演劇、文芸および視覚芸術の著作権管理団体による使用料徴収の傾向を地域ごとに確認することができます。CISACの会員であるJASRACの使用料徴収額も同レポートに反映されています。(※)

このページでは、最新の同レポートに記載されている統計を一部ご紹介いたします。

レポートの全文(英語)は以下PDFをご覧ください。

2023_CISAC_Global_Collections_Report.pdf


※本レポート記載の国・地域毎の統計は、重複を避けるため、姉妹団体から受け取った使用料(外国入金)を除いています。また、管理手数料や文化控除などの各種控除前の総収入です。



世界の状況

2023年の「CISACグローバルコレクションズレポート」(2022年データ)によると、CISACに加盟する世界中の著作権管理団体の2022年の使用料徴収額(※)は120.7億ユーロ(約1兆6千億円)、前年比26.7%という記録的な伸びとなりました。新型コロナウィルス感染拡大前の2019年の徴収額と比較しても19.8%上回っています。

※音楽以外を含む全分野



全世界 使用料徴収額 (単位:億ユーロ)


演奏会やBGM等の演奏使用料は、2021年から69.9%の大幅増となったものの、コロナ拡大前の水準には届きませんでした。一方、音楽配信・動画配信サービス等の配信使用料は市場拡大により33.5%増加。2022年は徴収額全体の35%を占めるに至り、初めて放送使用料を上回りました。



使用料徴収額の地域別の割合を見ると、ヨーロッパ地域が54.8%と最も高く、日本を含むアジア太平洋地域は15.0%でした。




世界から見た日本の使用料徴収額

日本の音楽著作権使用料の徴収額は世界で5位です。アジア太平洋地域では日本が1位、オーストラリア(※)が2位、韓国が3位です。

※ニュージーランドおよび付近の南太平洋の島々を含む



音楽分野の使用料徴収額 上位10ヵ国 (単位:100万ユーロ)


レポートでは、各国の使用料徴収額(全分野の合計)を人口一人当たりで計算した金額も紹介されています。日本における使用料徴収額を日本の人口で割ると、一人当たり6.78ユーロ(約925円)となり、世界で22位に位置します。もっとも金額が高かったのはスイスで、一人当たり27.40ユーロ(約3,741円)でした。上位10ヵ国のうちヨーロッパ諸国が9ヵ国を占めており、ヨーロッパ地域は芸術全般における著作権管理の成熟度が高いことがうかがえます。


使用料徴収額 人口一人当たり(単位:ユーロ)

【上位10ヵ国】1位:スイス、2位:デンマーク、3位:フランス、4位:フィンランド、5位:スウェーデン、6位:オランダ、7位:オーストラリア、8位:イギリス、9位:アイスランド、10位:ノルウェー


また、各国の国内総生産(GDP)に占める使用料徴収額の割合もレポートで報告されています。この数字は、国の経済全体に占める使用料徴収額の割合を示しています。

1位はフランスの0.064%。日本の割合は0.021%で、世界で25位でした。こうした数字は、日本の著作権使用料の徴収額の水準が世界と比較して必ずしも高いとは言えないことを示しています。



国内総生産(GDP)に占める使用料徴収額の割合(%)


「CISACグローバルコレクションズレポート」には、その他にもさまざまな統計が掲載されています。

2023_CISAC_Global_Collections_Report.pdf


※本稿では、1ユーロ=136.54円で換算しています。