平成10年度上半期・使用料徴収額まとまる

  JASRACが1998年度の4月から9月までに徴収した音楽著作物の使用料総額は472.8億円(前年同期比113.2%、上半期目標106.6%)となりました。
 分野別の徴収額は下表のとおり。

徴収額(億円) 前年同期比(%) 上半期目標比(%)
演奏 163.4 114.5 102.8
録音 247.1 103.5 109.8
出版 12.3 117.4 113.0
貸与 23.8 99.4 99.3
複合(通信カラオケ) 23.4 - 104.2
私的録音補償金 2.6 144.3 132.3
合計 472.8 113.2 106.6


前年同期を大きく上回ったのは、前年度上半期に入金のなかった「通信カラオケ」が、今年度は6月に今年1〜3月分、9月に4〜6月分として合計23億円余の支払いを受けていること、「カラオケ5坪(宴会場面積10坪)まで店」徴収開始によるカラオケ演奏使用料の大きな伸び、また「録音」の「オーディオディスク」が106.6%と好調に推移したことなどによります。
 今年2月から徴収を開始したカラオケ5坪まで店については、短期間での管理率アップを目指すため、全国カラオケ事業者協会JKA(毛塚昇之助会長)との業務協定にもとづく施策、また今年度から設置したカラオケ管理推進担当による地区単位での重点的な調査・契約業務などを推進し、9月末現在の契約件数は86,000件となりました。
 加えて、従来からの「カラオケ社交場5坪超店」、「カラオケボックス」についても、悪質店には法的措置をとるなどの積極施策が「カラオケ」全体で前年同期比127.2%の徴収につながり、「放送」等を含めた「演奏」全体でも、前年に対し114.5%と好調に推移しました。
「オーディオディスク」は、今年1月から6月までの間に、シングル、アルバムあわせて20タイトルがミリオンセラーを記録したことなどから、徴収額192.4億円、前年同期比106.6%となり、「録音」全体でも103.5%と前年を上回りました。
 貸与は、小規模CDレンタル店が減少している反面、大型チェーン店が出店しており、徴収額はほぼ前年並みを維持しています。
 上半期に私的録音補償金管理協会SARAHからJASRACが受け取った私的録音補償金の対象は、'97年4月から9月に出荷されたデジタル方式の録音機器・記録媒体。MDの売行きが好調で前年同期に比べ144.3%と大きく伸びましたた。  

"レコード演奏のすべてに著作権を"
附則14条撤廃に向け対策委員会を設置

 JASRACは、CD、レコードなど録音物による音楽の再生演奏の権利を制限している著作権法附則14条の即時廃止を求めるため、7月27日、文化庁長官に「著作権法改正の要望書」を提出しましたが、さらに関係方面に訴えていくため、「附則14条問題対策委員会」を設置しました。
 委員は次のとおりです。

〈作詞者〉
 たかたかし、中山大三郎、星野哲郎、湯川れい子
〈作曲者〉
 三枝成彰、鈴木淳、服部克久、船村徹、三木たかし
〈音楽出版者〉
 朝妻一郎(フジパシフィック音楽出版)
 大久保一清(ビクター音楽出版)
 草野昌一(シンコー・ミュージック)
 渡邊美佐(渡辺音楽出版)

デジタル問題対策会議がホームページを開設
(URLはhttp://www.music-copyright.gr.jp)

 JASRAC、音楽出版社協会MPA、日本レコード協会など6つの権利者団体で構成される「デジタル問題対策会議」が、インターネットなど伝送系メディアでの音楽著作物の違法利用撲滅に向け、10月1日、ホームページを開設、著作権等の権利保護・啓発のキャンペーンを開始しました。
同メディアでは昨年夏ごろから、MP3を利用した違法音楽ファイルのアップロードが急増、さらに今年に入り、同ファイルをパソコン経由で録音・再生できる携帯機器が輸入・販売されるなど、著作権者・著作隣接権者にとって看過できない事態が生じたため、違法ファイル撲滅のキャンペーンの一環として、共同でホームページを立ち上げることとなりました。
 ホームページでは、「FAQ」を設け、インターネットなどで音楽を利用する場合に権利者への許諾を必要とする法的根拠、違法行為に科せられる罰則などを解説、また違法音楽ファイルについての情報提供を求めるコーナーを設け、無許諾利用の早期発見に努めています。
 またプロジェクトチームでは、インターネット上で違法音楽ファイルを自動検索する「検索エンジン」の開発に取り組むほか、国内700のサービスプロバイダーに対しても、違法ファイルを掲載しているホームページへの指導・啓蒙を要請、また注意・警告にもかかわらず違法行為を継続するホームページ開設者には、法的措置を講じていく方針です。

私的録音補償金の政令指定機器・記録媒体に
CDーR、CDーRWを追加

 MDなど私的録音補償金の支払対象となっている政令指定機器・媒体に、CD−R、CD−RWを追加することが10月13日、閣議決定され、11月1日施行の著作権法施行令に盛り込まれることとなりました。
 デジタル方式による録音機器・記録媒体を用いて私的複製する場合、ユーザーには権利者への補償金の支払いが義務づけられており、メーカーの協力を得て私的録音補償金管理協会SARAHが受け取った補償金は、日本レコード協会、日本芸能実演家団体協議会(芸団協)に配分されます。これまではMD、DAT、DCCが補償金の支払い対象として政令で定められていました。
 CD−R、CD−RWは光ディスクの一種で、CD−Rは音楽やデータを一度だけ複製でき、CD−RWは何度でも書き換えることができます。補償金の支払対象となるのはオーディオ用のみで、パソコンなどハードディスクとして生産されるものは対象から除外されます。また、補償金額はMDやDATなどと同率で算定されます。

イタリアでBIEM総会

 9月18日、イタリア・カプリ島で録音権団体国際事務局BIEM(37の国、38団体で構成 JASRACは1968年に加盟)の総会が開かれ、JASRACはひきつづき執行委員団体にえらばれました。
 加盟団体等から60名が参加した今回の総会では、はじめに1997年度の事業・収支決算および1998年度の予算を承認、ひきつづき国際レコード・ビデオ製作者連盟IFPIとの間で今年1月に合意、7月に署名を終えたレコードの使用料率に係る標準契約書の改訂について経緯が説明されました。
 また、EC委員会がIFPIからの指摘を受け、標準契約書に定められた最低使用料および収録曲数の上限などがBIEMの独占的立場とかかわる規定であるかどうかの調査を開始したと報告され、 BIEM加盟団体が一丸となって対処する必要があることを確認しました。
 次回総会の開催地は、BIEM発足70周年を記念してフランスで開かれることになりました。


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