CISAC総会 ドイツ・ベルリンで開かれる 

ホテル写真 国際的な著作権保護の確立と向上のため、1926年に設立された著作権団体の国際組織CISAC(著作権協会国際連合〜94の国と地域・171団体が加盟。JASRACは1960年から加盟) の第41回総会が、9月6日から9日にかけ、ドイツ・ベルリンで開かれました。
 初日はドイツ大統領主催のレセプション、7日は、デジタル情報社会における立法・法制度をテーマに二つの公開討論会が開かれ、加戸理事長が「著作者の地位」を検討する討論会にパネリストとして出席、著作権管理の新たな理念を提案し、多くの賛同を得ました。スピーチの要旨は次のとおりです。

 「技術革新が日進月歩の時代には、時代を先取りした法制度の整備こそ求められる。日本ではオンデマンド送信がまだ試験段階だった12年前、世界に先駆け有線送信権を創設、今日のネットワークにおける著作権管理に大きな援軍となった。
 21世紀は、デジタル技術とネットワーク化の相乗効果により、伝送系メディアでの著作物利用が主流になる。 原材料費、流通コストが削減されれスピーチする加戸理事長ば著作物の低価格化が進み、著作者の収入は同じレベルでダウンするだろう。
この場合、事業者収入の10%を使用料とするCISACの原則は時代遅れ。著作物はいかなるメディア、いかなる技術手段によろうとも、エンドユーザーの心に触れる時点では、これまでと同じ利用価値を持つ。新たなメディアにおける作品の提供価格は、利用産業側でなく著作権者が決めるべき。どの産業であれ 土地代や事務所の賃貸料、人件費、銀行利息、電気・ガス・水道代などを値切って事業を始めることはない。著作物の価値を値切ろうとする事業者が絶えないのはなぜか。
 JASRACは通信カラオケの使用料規定において、基本使用料と利用単位使用料を合算する方式を事業者団体と合意することができた。ベルリンの壁崩壊のように10%原則の壁を突破した。各団体が各国の法令の枠のなかで、また実態に即した対応のなかでこのような方向に進むことを願う。デジタル情報社会においては、私的録音録画補償金制度の問題、CIS計画(作品や権利者の資料の国際的な標準化、ネットワーク化)の推進など課題は多々あるが、この総会で私が提案したいことを、結論として申し上げる。
“CISACの10%原則よ、さようなら。リーズナブルな使用料よ、こんにちわ”この提案が受け入れられ、実践されるなら、21世紀の作家の未来は明るい」

 8日は、管理団体と使用者の関係を検討する公開討論会、CIS計画のデモンストレーションの後、CISAC理会場の写真事選挙が行われ、JASRACが上位で当選しました。また、JASRACが提案した総会における投票権数の限度枠拡大など、CISACの定款変更が可決承認され、JASRACの投票権数は加盟団体中トップの305票(2位はドイツGEMAで231票、3位はイタリアSIAEで152票)となりました。

 最終日は、CISACの新役員が選任されたほか、次回2000年の総会開催地をチリ・サンティアゴに決定、またデータベースの管理・運営にとって深刻な問題となっているコンピュータの西暦2000年問題、欧州議会へ提出された著作権をめぐるディレクティブ(指令書)および著作物を他の商品と同等に扱う他国間投資協定MAIへの抗議など、四つの対応策が、今総会におけるCISACの決議案として提案され、承認されました。


JASRAC 評議員選挙開票行われる

 3年ごとに行われる評議員選挙の開票が、9月18日に行われ、作詞者30名、作曲者30名、音楽出版者15名の新評議員75名が決定しました。
 8月31日から9月17日まで選挙管理委員会が受理した JASRAC正会員からの投票総数は1,079通。投票率は作詞者・作曲者区分で68.83%、音楽出版者区分で86.48%と、前回の63.92%、85.23%をいずれも上回りました。


カラオケボックスの訴訟で、カラオケソフトの再生に演奏権が認められる

 JASRACが埼玉県のカラオケボックス経営者ら3者に対し、著作権侵害にもとづくカラオケの使用差止めと損害賠償を求めていた本案訴訟で、東京地裁は8月27日、JASRACの主張を全面的に認める判決を下しました。カラオケボックスでの無許諾利用が著作権侵害にあたるとの司法判断は、使用差止めを求める仮処分事件では下されてきましたが、本案訴訟で判示されたのは今回が初めてです。
 被告経営者は、平成5年4月以降、カラオケの無許諾利用を続け、同年に「全日本音楽著作権料値下交渉聯盟」を組織、全国的に同調者を募って著作物使用料の支払い拒否運動を続け、昨年11月には同聯盟加盟の事業者がJASRACを被告として債務不存在確認請求を東京地裁に提起するなど、JASRACのカラオケ管理業務を妨げてきました。
 判決では、被告の「業務用カラオケソフトは店での歌唱を目的として製作されたもので、JASRACはその用途を承知のうえで録音の許諾をしたのだから、カラオケ店での再生・歌唱にまで著作権料を請求するのは二重取りである」との主張を退け、ソフト製作に複製権を、また店での歌唱も公の演奏にあたるとし、歌唱に演奏権を認めました。
 さらに、カラオケソフトの再生は著作権法附則14条の規定の適用を受けず、自由利用はできないとし、カラオケ歌唱だけでなくソフトの再生にも演奏権が及ぶと判示、JASRACが今後カラオケの管理を円滑に進めていくうえで、極めて重要な意義を持つ判決となりました。


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