茨城県のカラオケ社交場刑事事件で最高裁が被告人の上告を棄却

 JASRACが著作権法違反容疑で告訴し、1審で有罪、控訴審でも控訴棄却の判決を受けた上野支部管内、茨城県つくば市内の社交場経営者が上告していた事件で、最高裁は今年2月20日、上告を棄却する判決を下し、被告人の有罪が確定しました。カラオケ社交場の刑事事件が公判を経て判決が出されたのは2件目で、最高裁まで至った事件は今回が初めてです。
 この刑事事件は、平成7年11月、JASRACの再三の注意にもかかわらず無断演奏を続けていた中国国籍の社交場経営者を、JASRACがつくば中央警察署に告訴したもので、相手側は「JASRACから手続の督促を受けたことはなく、日本語の理解力も乏しいため、カラオケの無許諾利用が著作権侵害になるとは知らなかった」などと主張していました。
 1審、2審とも裁判所はこの主張を退け、その理由として、JASRAC職員が再三督促し、許諾手続きなどについて説明したパンフレットや督促書などを送付していたこと、被告人が新聞やテレビの内容もほぼ理解できる程度の日本語力をもっていたことなどを挙げ、特に2審の東京高裁では、音楽を営業に使うことに関して、「JASRACに無許諾でカラオケを使用することが著作権法違反になることは、飲食業界にあっては常識」と判示しました。

「スターデジオ」に適用する使用料について第一興商と暫定合意

 通信衛星を利用した100チャンネルのデジタル音声放送「スターデジオ」での音楽利用に関し、JASRACは放送を行っているM第一興商と、平成9年3月の放送開始から平成11年3月末までの著作物使用料等の取扱いについて暫定合意しました。
 使用料については、放送開始から今年3月までの分を清算使用料として支払うこと、および平成10年度分は毎月の受信契約件数の伸び率を反映させることとし、その額は放送開始から今年度末までの通算で、およそ6000万円となる見込みです。
 「スターデジオ」では、CD並の高音質の音楽を、大量に繰り返し提供し、曲目ごとにタイムコード(放送時間)を事前に受信者にFAXサービスしていることから、JASRACは、「スターデジオ」は従来の放送とは異なる形態の放送であり、これまでの放送と同様の使用料率を適用することはできないとの方針で第一興商と協議を行ってきました。
 今回の暫定合意で第一興商は、権利者団体などが家庭内録音を助長させないよう配慮を求めていることから、・曲目ごとのタイムコードを事前に知らせるFAXサービスを漸次削減・FAXサービスの番組数を縮小する方向で検討・インターネットサービスはタイムコードを表示しないこととしています。
 平成11年度以降の取扱いについては、協議を継続し早急に取り決める予定です。

通信衛星を利用した情報番組提供者と契約

 JASRACは、通信衛星を利用して営業所、販売店などにJASRACの管理著作物とともに営業情報を配信している2事業者と、使用料について合意、契約を締結しました。
 今回契約を締結した事業者は「パナソニック映像M」と「Mメディカルサテライト」の2社。前者は車情報番組のBGMに管理著作物を使用してニッサンの販売店、営業所などに配信、後者は医療情報番組のBGMに管理著作物を使用して医療関係者に配信しており、番組配信に係る放送使用料(放送用録音使用料を含む)は、いずれも年額120万円に消費税相当額を加算した額となっています。
 昨年9月には、JASRACはコンビニエンスストア「ローソン」の各店舗へ商品情報とともにJASRACの管理著作物を配信する事業者、および農林水産情報番組「グリーンチャンネル」を配信する事業者と、それぞれ契約を交わしています。

「情報公開に関する規程」を制定

 JASRACは6月17日の理事会承認を受け「情報公開に関する規程」を制定、広く一般に情報を公開することになりました。
 一昨年9月に閣議決定された「公益法人の設立許可及び指導監督基準および同運用指針」に従って、JASRACは定款を改正しましたが、同基準は公益法人の事業・収支を広く一般に公開するよう求めており、このほど開始した情報公開は、この趣旨に則って行うものです。
 JASRACでは、同基準が求めている・定款・役員名簿・正会員名簿・事業報告書・収支計算書・貸借対照表・財産目録・事業計画書・収支予算書に加え、さらに進んで情報を開示していく趣旨から、イ.信託契約約款 ロ.使用料規程 ハ.分配規程 ニ.収支差額金分配規程 ホ.管理手数料規程 ヘ.信託契約申込金規程も公開の対象としています。
 公開資料の閲覧希望者は、事前に資料の閲覧を申請し、JASRAC本部事務所の所定の場所で閲覧することができます。

ブルキナファソBBDAと録音権・貸与権について相互管理契約締結

 JASRACはアフリカ・ブルキナファソの著作権協会BBDAと、録音権および貸与権に関する直接相互管理契約を締結しました。
 BBDAとはこれまで、仏SACEM/SDRMを通じて録音権の間接契約を締結していましたが、今後は貸与権も含め、直接相互管理を行うことになりました。
 現在JASRACと管理契約を締結している団体数は93団体68カ国2地域(仏領ポリネシア/香港)。


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