平成9年度の徴収実績は942億円

 平成9年度の徴収実績がまとまりました。総額は942億8400万円。年間目標には2.4%及ばなかったものの、前年度に比べ36.5億円、4%増となりました。

 この中には、事業者団体加盟社との本合意により支払いを受けた通信カラオケの使用料64億円(一昨年の暫定合意により清算を受けた後の平成7年10月から昨年12月まで27カ月分の使用料)が含まれています。

 また今年2月から、JASRACは客席面積5坪(宴会場10坪)までのカラオケ利用店から使用料の徴収を開始しましたが、3月末現在で対象店18万6000件の38.2%にあたる7万1000店と契約を締結、2・3月の2カ月間で5億6000万円の支払いを受けました。

 実績の内訳は次のとおりです。(単位:億円、比率:%)

 演奏 298.3(110.2)

 録音 505.3(102.4)

 出版  22.5(107.2)

 貸与  48.1(102.1)

 通信カラオケ 64.0(88.9)

 私的録音補償金 4.7(193.1)

 演奏では、5坪まで店等の徴収を開始した「カラオケ」が111.5億円(113.1%)、また規定料率が年次的に引き上げられている「放送」が117.2億円(114.0%)と2ケタ台の伸びを示しています。

 録音では、当初落込みが懸念された「オーディオディスク」が、386.3億円(101.9%)、また通信カラオケの普及で年々減少傾向にあった「ビデオグラム」も人気アニメーション映画のビデオ化などにより、77.4億円(103.9)と前年度を上回りました。

 私的録音補償金管理協会SARAH(サーラ)から受け取った補償金の好調な伸びは、MDの著しい普及を表しています。

1998年JASRAC賞決まる

 1998年JASRAC賞が決まりました。この賞は、カラオケ、社交場等での演奏、CDをはじめとする録音、また放送、出版、CDレンタルなどあらゆる分野において音楽の利用者から支払いを受けた著作物使用料の年間分配額の多かった作品を対象に、関係権利者にその功績と栄誉を称え、JASRACへの貢献に感謝し顕彰するものです。16回目となる今回は、平成9年4月から平成10年3月までの1年間における分配額を対象にしています。

 なお金、銀、銅賞作品の製作・販売レコード会社に対しても、各受賞作品の公表、普及に尽くした功績を称え、JASRACへの貢献に謝意を表すため、感謝状を贈っています。

 金賞(国内作品の分配額第1位)

 「CAN YOU CELEBRATE?」

 作詞・作曲 小室哲哉

 音楽出版  株式会社フジパシフィック音楽出版

       株式会社プライム・ディレクション

       株式会社ライジングパブリッシャーズ

 レコード会社 製作 エイベックス株式会社

        販売 日本クラウン株式会社

 銀賞(国内作品の分配額第2位)

 「FACE」

 作詞 小室哲哉・MARC

 作曲 小室哲哉

 音楽出版  株式会社バーニングパブリッシャーズ

       株式会社プライム・ディレクション

       株式会社ソイツャーミュージック

       株式会社フジパシフィック音楽出版

 レコード会社 製作 エイベックス株式会社

        販売 日本クラウン株式会社

 銅賞(国内作品の分配額第3位)

 「HOWEVER」

 作詞・作曲 TAKURO

 音楽出版  株式会社バーニングパブリッシャーズ

       株式会社エクスタシー音楽出版

 レコード会社 製作 ポリドール株式会社

        販売 ポリグラム株式会社

 国際賞(外国入金による分配額第1位)

 「美少女戦士セーラームーン BGM」

 作曲 有澤孝紀

 音楽出版  株式会社テレビ朝日ミュージック

 外国作品賞(外国作品の分配額第1位)

 「WHEN YOU WISH UPON A STAR」

 作詞 Ned Washington

 作曲 Leigh Harline

 音楽出版 O.P. BOURNE Co.

      S.P. 株式会社ハイノートパブリッシング

 訳詞 島村葉二

インターネットを利用した不法録音物販売者を逮捕

 インターネットを利用して不法録音物を販売していた岐阜市在住の男性が、5月11日、著作権法違反の疑いで島根県警に逮捕されました。今年1月に島根県内のインターネット利用者から情報を受けた同県警は、同様の情報を受けていたJASRACと提携して捜査を進め被疑者を特定、3月には家宅捜査を行い、4月27日にはJASRACから告訴状を受けていました。

 この男性は、昨年12月から今年2月にかけて、デジタル衛星放送の音楽専門チャンネル「スターデジオ」から最新の日本の楽曲延べ353曲をMDなどに録音、権利者の許諾を得ずにインターネットで客を募り、1本2200〜2800円で販売していた疑いがもたれています。

 デジタル衛星放送を音源とする海賊版を、インターネットを利用して販売した者が逮捕された例は全国で初めてで、デジタル・ネットワーク技術の進歩により同種の事件が今後はびこらないよう、JASRACでは警戒を強めていきます。

兵庫県川西市内の不法録音物販売者を逮捕

 兵庫県川西市在住の男性が、権利者に無断で録音したと思われる音楽テープやMDを、自身が経営する喫茶店で販売していたことに関し、捜査を進めていた兵庫県警と川西署は、JASRACから、同店で販売されていたテープが無断録音物であるとの鑑定結果および告訴の意向を受けたため、4月21日、この男性を著作権法違反の疑いで逮捕しました。

 取り調べに対しこの男性は、平成3年ごろからレンタルCDを音源として、最新の日本の楽曲を無断で録音、1本約1000円で販売していたと供述しています。

 なおJASRACは5月18日、この男性を無断複製・頒布による著作権侵害で兵庫県警に告訴しました。

著作権審議会マルチメディア小委員会へ意見書

 文化庁・著作権審議会マルチメディア小委員会ワーキンググループ(座長・半田正夫青山学院大学教授)が2月20日付で発表した「コピープロテクション等技術的保護手段の回避」に関する中間報告に対して、JASRACは4月30日、技術的保護手段回避の規制範囲の拡大等を求める意見書を文化庁・遠藤昭雄次長に提出しました。

 意見書では報告書の内容について、著作権等が無断でコピーされないよう著作物等に施した技術的保護手段を回避する機器の製造・頒布および回避行為を法律で規制することに十分賛同できるとしたうえで、その規制範囲を現行著作権法で認められた権利の範囲内に限定していることに対しては、現状でも著作権法で規制することのできない有料衛星放送等のスクランブル解除、またゲームソフト等の暗号の解除など、著作物の享受段階における技術的保護の回避が行われていることを指摘し、公衆送信等による著作物の流通形態が一般化された場合この種の回避行為の増加が予測されることから、規制範囲を見直すよう求めています。

 またあわせて、技術的保護が施された著作物に著作権者の意に反してアクセスされないために「アクセス・コントロール権」のような新たな支分権を創設するよう提唱しています。


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