カラオケ5坪まで店から使用料徴収開始
JASRACは2月から、カラオケ5坪まで店などからの使用料徴収を予定どおりスタートさせました。
JASRACではバー、スナック、旅館等でのカラオケ歌唱の管理を昭和62年4月に開始しましたが、客席面積5坪(16.5平方メートル)までのバー、スナック等、および10坪(33平方メートル)までの宴会場については、その経済的負担などを考慮し、当分の間使用料免除としてきました。しかし、著作権管理の委託を受けた作詞家・作曲家などの適正な利益を確保する責務と、客席面積によって著作物使用料支払いの有無が決まることへの利用者側の不公平感の除去、また利用者の音楽著作権に対する理解と認識の深まりなど現状を総合的に判断し、カラオケ5坪まで店からの使用料徴収開始を文化庁長官に申請、昨年8月、認可がおりました。
カラオケ5坪まで店などの対象店舗数は約20万件。説明会の開催やDMの発送などによる周知活動、また、全国の環境衛生同業組合やカラオケ機器等のリース・販売をしている事業者などの協力で、契約手続きは順調に進んでいます。
大阪地裁がカラオケ歌唱室での経営者の利用責任を明示
JASRACが著作権侵害差止等の仮処分を申し立てた大阪支部管内のカラオケ歌唱室(カラオケボックス)に対し、大阪地裁は昨年12月12日、仮処分を決定、26日には大阪支部職員立会いのもと執行され、歌唱室のモニター画面一つひとつに公示書が貼られ、マイク、リモコン、機器の主音量ボリュームが封印されました。
カラオケ歌唱室に対する仮処分決定は4件目、執行は2件目になりますが、この事件では初めて、カラオケ歌唱室に対する仮処分決定書に理由が詳しく記されました。
決定書では、客は経営者の管理下で歌唱し、経営者は客が歌唱する場とカラオケ関連機器を提供することによりカラオケスナックなどにくらべ、より直接的に営業上の利益を得ているとし、著作権法上の規律の観点から、経営者自身が歌唱により音楽著作物を使用しているのと同視すべき、などとし、カラオケ歌唱室でのカラオケ利用について経営者が著作物使用許諾手続きをとらなくてはならないことを明示しています。
CDーROMなど使用料規定案がまとまり、利用者団体と協議を開始
JASRACは、CD−ROMやCD EXTRAなど、多様な表現形態の情報を大量に収録し、かつインタラクティブな利用が可能なソフトへの録音に係る使用料規定案をそれぞれまとめ、CD−ROM、DVDなどについてはレコード協会、映像ソフト協会、マルチメディアタイトル制作者連盟と、CD EXTRAについてはレコード協会と協議を開始しました。
CD−ROMなどの規定案は、ビデオグラムの規定をベースにしていますが、特に小売価格や製作枚数などに応じて計算する「複製使用料」については、多数曲を収録した場合、使用料が高額になり円滑な利用を妨げるため、ソフト1枚当たりの使用料に上限を、また低廉なソフトに対応するため最低使用料を設けています。
一般CDの余白データ部分にCD−ROM規格のデータを収録するCD EXTRAについては、CD部分に現行オーディオ録音の規定を、CD−ROM部分には別途規定を設けて合算する方式としています。
WOWOWの使用料規定を変更
JASRACは日本衛星放送(株)WOWOWに適用する放送使用料の規定を変更しました。
新規定は前年度の放送収入に1.5%を乗じて得た額または年額240万円のいずれか多い額を年額使用料とする方式です。また、規定の適用は平成12年度まで、13年度以降は改めて協議することとしています。
WOWOWは平成3年4月からBS(放送衛星)を利用したアナログの有料TV放送を行っており、これまでの規定は10円に加入契約数を乗じて月額使用料を算出する方式をとっていました。
96年管理団体徴収額ベスト10
著作権協会国際連合CISACに加盟の各国著作権管理団体の1996年使用料徴収額が出揃いました。上位10団体は下表のとおりです。
演奏権、録音権を個別に管理する団体があり、また為替レートが変動するため単純な比較はできませんが、順位の変動はほとんどなく、前年同様ドイツGEMAがトップ、JASRACが2位となっています。
円換算は1997.11現在 対前年比は現地通貨での比較
順位 前年 団 体 名
(国名)徴収額
(百万円)対前年比
(%)備考 1
1
GEMA
(ドイツ)93,835
103.0
2
2
JASRAC
(日本)90,635
109.7
3
3
SACEM/SDRM
(フランス)69,963
103.0
4
4
ASCAP
(アメリカ)58,237
110.8
P
5
5
Harry Fox
(アメリカ)50,812
105.8
M
6
6
BMI
(アメリカ)46,162
109.4
P
7
8
PRS
(イギリス)38,863
108.5
P
8
7
BUMA/STEMRA
(オランダ)29,538
96.7
9
9
SGAE
(スペイン)20,482
103.7
A
10
10
SABAM
(ベルギー)11,387
87.8
A
備考欄、空白の団体は演奏権・録音権両方を管理
P=演奏権、M=録音権、A=音楽以外の使用料を含む
カラオケ教室不法録音物対策委がテレビCM
カラオケ教室における不法録音物の撲滅に向け、関連10団体で結成されたカラオケ教室不法録音物対策委員会は、啓蒙活動の一環として、テレビCMを制作しました。
CMでは「いつでも夢を」が流れるなか、遠藤実JASRAC会長が登場、「人に人権があるように歌にも著作権があります。皆さん歌を人生の友として愛してください」とメッセージを送り、著作権の大切さを訴えました。
このCMは12月20日放映「みちのく演歌まつり」(NTV系東北6社共同制作)、12月30日放映「第30回年忘れにっぽんの歌」(テレビ東京)、1月15日放映「みちのく演歌まつり(再放送)」(日本テレビ)でオンエアされました。
現在、同対策委員会ではラジオCMを検討しており、今後もメディアを通し一層の啓蒙活動を図ることとしています。