作家で聴く音楽 JASRAC会員作家インタビュー
コモリタミノル 2/2
profile
1959年2月生まれ。大分県出身。1983年、第25回ポプコンつま恋大会に「小森田実&ALFA」として出場、グランプリを受賞しデビュー。1989年のソロデビュー以降は、作詞・作曲・音楽プロデューサーとして幅広い音楽活動を続けている。代表作(作曲)は「夏だけの女神(ディアーナ)」、「GOOD DAY I・N・G」、「シアワセの王様」、SMAPの「たいせつ」、「らいおんハート」、「BANG!BANG!バカンス!」、BoA「コノヨノシルシ」、V6「グッデイ!!」(作詞・作曲)など。昨年には、1989〜1993年にリリースしたソロアルバム4枚を中心に、セルフカバーの5曲を加えた2枚組ベストアルバム「GOLDEN☆BEST」をリリース。1997年7月からJASRACメンバーに。

コモリタミノル オフィシャルwebサイト
http://www.comorita.com/
こちらで実施しているアンケートにお答えいただいた方の中から抽選で5名様に、コモリタミノルさんのベストアルバム「GOLDEN☆BEST」をプレゼントします。
応募締切日:2007年5月31日
(プレゼントの応募は締切りました。たくさんのご応募ありがとうございます。)
GOLDEN☆BEST
(株)ソニー・ミュージックダイレクト
/GT music (MHCL-825)
JASRAC
丁寧につくられた作品は、時を超える

昨年リリースしたベストアルバムには、1989年から1993年の間にリリースしたソロアルバムから選曲した作品と、他のアーティストに提供した作品のセルフカバー5曲を加えた36曲を収録しました。改めて昔の作品を聴いてですか?昔の曲は歌いにくいメロディですね(笑)。以前は「聴いて気持ちがいいかどうか」を中心に考えてつくっていたんですが、90年代に入るとカラオケで歌われるということを意識せざるを得なくなったんで、良いのか悪いのかは別にして「歌いやすい曲をつくる」ということが自分に染みついてきているのかもしれません(笑)。でも、やっぱり丁寧につくった作品は、時が経った今でも聴ける。例えばソロデビュー作の『夏だけの女神(ディアーナ)』は、小さい頃から親しんでいたコール・ポーターのようなメロディで、自分の美意識に忠実に、曇りなくつくられたものだということを再認識できますね。また、セルフカバーの中には、SMAPさんに提供した『たいせつ』という作品が含まれているんですが、昔から好きだったスティービー・ワンダーへのリスペクトを込めると同時に、今後の自分の音楽の方向性みたいなものを織り込めるといいなと思って、もともと自分がイメージしていたアレンジでカバーしました。



15年ぶりのライブ

ベストアルバムの発売にあわせて、15年ぶりにライブもやったんです。人前で歌うこと自体が15年ぶり(笑)。緊張はしましたが、できることを精一杯やるしかないと途中から開き直ったら、いつしか緊張も解け、落ち着いて歌うことができました。ファンからのメールを読むと、それなりに満足いただけたようなのでホッとしましたね。ライブでリスナーと生の繋がりを確認するのはやっぱり素晴らしい。10年くらい前までは、レコード会社に行ってディレクターと打合せをするなど、「人と会う」ことが仕事のひとつだったんですが、今や作曲の依頼もメールで、できた作品を送るのもメール。仕事をしている実感がすごく薄れてくるんですよね。そういう意味では、ライブで音楽を発信するっていうことにはすごく実感がある。それに、ライブの中でギミック(トリッキーなアレンジや演奏法)など、自分流の美意識に偏りすぎてるかなって思うことをやったときに、それをリスナーが受け入れてくれると、「人に頼まれて作品をつくるときにもやってみよう」とか思ったりして、曲づくりにもいい刺激がありますね。そういう意味では、今後も定期的にライブをやっていきたいと思っています。


「自分が楽しめる曲」をずっとつくっていきたい

渋谷に出たときなんかに、屋外ビジョンに流れるビデオクリップを見たり、センター街で流れている有線とかを聴くと、人々がどんな音楽を望んでいるのかが、なんとなくわかる気がする。あそこに今の時代の空気が集約されているような気がするんですよね。知り合いからは「日本のスタンダードは渋谷センター街じゃなくて新宿歌舞伎町。歌舞伎町をスタンダードにして曲をつくれば売れるんじゃない?」って言われるんですけど、自分としてはやっぱり歌舞伎町をスタンダードにはしたくない(笑)。そういう意味では、自分は王道というか、本来の意味での主流からは外れていると思う。僕の作品の中には、ヒットという形で皆さんに愛されているものもありますが、それは偶然であって、確信犯ではない。あくまで自分が聴いて楽しいものが受け入れられた結果だと思っています。

今後、音楽を購入する手段が配信に変わっていくとすれば、作家の意識も変わってくるでしょうね。コストがそれほどかからなくなるので、マスに向かってというよりも、特定の層に向かって曲をつくっていく形になるかもしれません。そういう意味では、さらに「みんなのうた」と呼べる作品がなくなっていくのかもしれないなあっていう、少し残念な思いはあります。ただ、世の中がどう変わっていこうと、自分で聴いて楽しいものをつくっていくという気持ちは変わりません。そこがないと、ただの音の職人になってしまいますから。50、60、70歳になっても音楽を続けていくためには、”楽しい”っていうことがないとやってられませんからね。


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