新執行部発足の記者会見

 11月19日、JASRACで報道関係者50人が出席し、JASRAC新執行部発足を伝える記者会見が開かれました。
 はじめに遠藤実会長が挨拶、小野清子氏に理事長就任を要請した理由として、五輪でメダルを獲得した精神力、文化行政で活躍した経歴、爽やかな人柄などを挙げ、「幅広い人脈もあり、課題解決に全力を尽くしてくれるはず」と期待を述べました。
 小野理事長は「わかりやすい著作権、愛されるJASRACを目指す」と抱負を語り、インタ−ネットなどで各家庭が直接著作権と関わりをもつ時代には、国民一般への広報活動、情報公開が重要と説明、また附則14条撤廃などJASRACが直面する課題を挙げ、報道関係者へ理解と支援を求めました。
 質疑応答では、インタ−ネット関連の質問を中心に管理団体複数化の動きについてなどさまざまな質問が出され、最後に遠藤会長が、カラオケ教室などでの不法録音の現況を説明、違法行為撲滅に向けて、報道関係者に支援を求めました。

集中管理制度委員会が発足

 現在、文化庁の著作権審議会・権利の集中管理小委員会専門部会で仲介業務法の見直しが審議されていますが、JASRACは新たな時代における著作権の管理制度のあり方を総合的に検討するため、11月4日、「集中管理制度委員会」を発足、次の各氏に委員を委嘱しました。主な検討内容は、管理団体の複数化や著作権者による自己管理制度、また将来の集中管理制度やJASRAC業務のあり方などです。

【委員】
〈作詞者〉
荒木とよひさ、伊藤アキラ、岡田冨美子、宮中雲子
〈作曲者〉
小川寛興、三枝成彰、服部克久
〈音楽出版者〉
朝妻一郎、草野昌一、渡邉修一、渡邊美佐

附則14条廃止へ対策委が活動を開始
音楽議員連盟役員と懇談
対策委が第1回会議

 レコード演奏のすべてに著作権を−。
 JASRACは、昭和46年施行の現行著作権法に経過規定として設けられたレコード演奏の権利を制限する著作権法附則14条の廃止を求める運動を開始、10月に作家・出版者理事で構成される「附則14条問題対策委員会」を設置、11月4日、同委員会の第1回会議が開かれました。
 この会議は加戸前理事長が出席した最後の委員会で、加戸理事長は「著作権法でいわば戦後処理の済んでいない附則14条を廃止するための法改正運動に委員の協力をお願いしたい」と挨拶、続いて委員会は、委員長に三枝成彰理事、副委員長に湯川れい子理事を互選しました。
 この後事務局から、11月2日に超党派で組織されている音楽議員連盟の役員に、先に文化庁に提出した附則14条等著作権法改正を求める要望書を手渡したこと、また11月20日には、音議連役員にJASRACの要望の趣旨を直接聞いていただくための懇談会がもたれることになったことが報告され、併せて今後の運動の展開について協議しました。
〈音議連役員と懇談〉
 11月20日、音議連役員とJASRACとの懇談会が永田町キャピトル東急ホテルで行われ、櫻内義雄会長、斉藤斗志二事務局長ほか音議連役員、文化庁長官官房審議官、課長ほか職員、JASRACから遠藤会長、小野理事長、木村・加藤常務理事、対策委員会の三枝委員長はじめ各委員が出席しました。
 懇談会では、はじめに三枝委員長が、CD、レコード等録音物による音楽の再生演奏に著作権者の権利が認められていないのは日本だけ。国際的な著作権管理のうえでも大きな問題となっており、附則14条の廃止は急務であること、またJASRACに権利を信託している作家の中で著作権使用料で生計を維持できるのは極めて限られた数であり、この点からも附則14条が廃止され作家の適正な利益が確保されなければならないことなどを訴え、中山大三郎委員など他の委員からも、文化国家日本として恥ずべき規定は早急に廃止されなければならないと訴えました。
 さらに加藤常務は、附則14条が廃止されたとき、「有線送信の伝達」の管理を含め、JASRACとしてどのような方法で管理を行っていくか、管理施策の概要を説明しました。
 JASRAC側の訴えに対し、櫻内会長は「附則14条の廃止については、すでに十分に心得ており、行政当局の改正に向けての準備が整えば、必ず陽の目を見よう。我々の責任において推進していきたい」と述べ、他の役員からは法案提出に向けての今後のスケジュールの説明や、さらに音楽作家の生活の実情をもっと訴えて欲しいなどの意見が出されました。
 懇談会の最後に小野理事長は、櫻内会長はじめ音議連の支援に謝意を述べ音楽作家の悲願とも言える附則14条の廃止を実現させて欲しい、と重ねて訴えました。

CD−R海賊版製造者を逮捕

 CD−R(データ書き込みが可能なCD)を利用した無断複製物を販売・頒布していた愛知県豊橋市在住の男性が10月28日、静岡県新居警察署と同県警本部暴力団対策第1課、2課に、著作権法違反の疑いで逮捕されました。CD−Rを利用した無断複製物の、いわゆる知情頒布(著作権法113条。無断複製物 であることを知っていながら頒布、または頒布する目的で所持)による逮捕は、今回が初めてです。
 この事件は、今年8月に新居署が暴走族の取り締まりを行った際、この男性が販売していたCDを暴走族のひとりが所持していたことから発覚、CDの鑑定依頼を受けたJASRACが無断複製物であることを確認、告訴したため、今回の逮捕となりました。
 この男性は暴力団の組員で、無断複製したCDを1枚3,000円で暴走族に販売、上納金 にあてており、逮捕当日に行われた家宅捜査では、原盤と見られるCD200点以上が押収 され、またその後の捜査で、販売だけでなく無断複製もしていたことが明らかになったため、JASRACは11月16日、複製権侵害(著作権法21条)で追加告訴を行いました。

 
カラオケ教室不法録音物対策委員会
全国4会場でトーク&コンサート

 全国のカラオケ教室で蔓延している不法ダビングの撲滅キャンペーンに取り組んでいるカラオケ教室不法録音物対策委員会は、10月26日金沢市民芸術ホールを皮切りに、大阪、熊本、名古屋の全国4会場でトーク&コンサート「歌・想い…そして出逢い」を開催しました。
 このコンサートは、同委員会がキャンペーンの一環として、作詞家・作曲家・歌手と、カラオケファンとの交流をとおし、音楽著作権・著作隣接権に対する認識をより高めてもらおうと企画されたもので、出演者は、26日に三木たかし氏、乙田修三氏、歌手の保科有里さん、27日にJASRAC遠藤実会長、いではく氏、もず唱平氏、富田梓仁氏、歌手の中村美律子さん、29日に荒木とよひさ氏、中山大三郎氏、歌手の神野美伽さん、30日に中山大三郎氏、歌手の半田浩二さん、田村恵さんを迎えて行われました。
 コンサート冒頭、金沢では木村豊同委員会副委員長(JASRAC)、大阪では木村三郎委員長(日本レコード協会)、熊本・名古屋では寺本幸司副委員長(芸団協)がそれぞれ挨拶、第1部では作詞家・作曲家が著作権についての話を交えながら歌づくりのエピソードなどを披露、つづく第2部では、出演者の手ほどきにより、一般参加のカラオケレッスンが行われました。
 大阪会場ではJASRAC遠藤会長が「人に人権があるように、作家が魂を込めて創作した作品にも著作権がある」と、カラオケファンに著作権への理解を求めたほか、梅津JASRAC大阪支部長が出演、大阪におけるカラオケ管理の現状を説明しました。
 

平成10年度上半期分配額ベスト10

 今年度上半期で使用料分配額の多かった国内および外国作品の総合ベスト10と、国内作品のうち録音、カラオケ演奏のベスト10とその傾向、特徴を紹介します。

国内作品総合ベスト10
 小室哲哉氏の作品に代わり、五十嵐充氏の作品がトップとなりました。五十嵐氏はEvery Little Thingのメンバーで、同氏の作品はベスト20までに5曲ランクされています。2位、4位の伊秩弘将氏の作品はSPEEDが歌唱、また3位安室奈美恵、5位GRAY歌唱の作品は昨年度の分配額にもとづく今年度のJASRAC賞受賞曲で、ロングセラーの傾向を表しています。9位はベスト10初登場のJUDY A ND MARY、10位は常連globeの曲。総合ベスト10のうち7曲が録音分野の上位曲で占められ、それ以外の3曲(3、4、5、位)はカラオケ分野のベスト3。カラオケで順位を上げた演歌・歌謡曲が、総合ではベスト100ま でに1曲(98位「居酒屋」)のみでした。

録音ベスト10
 B'zの稲葉浩志、松本孝弘両氏による作品がベスト30までに14曲ランクされています。これらは500万枚を超え るセールスを記録したベストアルバムの収録曲で、3位「ALONE」は'91年の作品。新譜で占められるこ とが多い録音の上位作品にかつてのヒット作品が登場しました。

カラオケベスト10
 ベスト10に演歌・歌謡曲が5曲ランクインしています。これは今年2月からの「カラオケ社交場5坪(宴会場10坪)まで店」徴収開始でカラオケ社交場全体の使用料が増えたことが大きく影響しています。演歌の定番に、10位「珍島物語」(天童よしみ歌唱)が加わりました。

外国作品総合ベスト10
 1位はJ-FRIENDS(TOK IO、KinKi kIDS、V6の メンバー13名によるユニット)歌唱の「Children's Holiday」。マイケル・ジャクソンが作詞・作曲した作品。この作品は、ジャニ−ズ事務所の所属ア−ティストによるチャリティー企画のCDに収録されており、CDによる収益金は阪神・淡路大震災で被災した地域の義務教育の復興経費に充てられます。ベスト10のうち、1、3、8位を除いた7曲が、CM使用によるランクインとなりました。

国内作品総合ベスト10
順位 作品 作詞者 作曲者 音楽出版者
TIME GOES BY 五十嵐充 五十嵐充 (株)フジパシフィック音楽出版
MY GRADUATION 伊秩弘将 伊秩弘将 (株)オモチャ工房音楽出版
CAN YOU CELEBRATE? 小室哲哉 小室哲哉 (株)フジパシフィック音楽出版
WHITE LOVE 伊秩弘将 伊秩弘将 (株)オモチャ工房音楽出版
HOWEVER TAKURO TAKURO (株)バーニングパブリッシャーズ
(株)エクスタシー音楽出版
CALLING 稲葉浩志 松本孝弘 (株)テレビ朝日ミュージック
(株)ルームスミュージック
FACE THE CHANGE 五十嵐充 五十嵐充 (株)テレビ朝日ミュージック
(株)プライム・ディレクション
ALONE 稲葉浩志 松本孝弘 (株)メディアプルポ
散歩道 YUKI 五十嵐公太 (株)フジパシフィック音楽出版
10 WANDERIN'DESTINY MARC
小室哲哉
小室哲哉 (株)バーニングパブリッシャーズ
(株)プライム・ディレクション

 *音楽出版社名は、JASRACに届出られたもののみ。

 外国作品総合ベスト10
順位 作 品 著作者
CHILDREN'S HOLIDAY M.Jacksonl
HAPPY BIRTHDAY TO YOU M.J.Hill / P.S.Hill
WHEN YOU WISH UPON A STAR L.Harline / N.Washington
ISN'T SHE LOVELY S.Wonder
SHANGRI LA 電気グルーヴ / B.Silvetti
OB LA DI OB LA DA J.Lennon / P.McCartney
GREEN GREEN B.B.McGuire / R.Sparks
FIFTH ELEMENT BGM E.G.Serra
CHANGE THE WORLD T.Sims/G.S.Kennedy/W.Kirkpatrick
10 BABY ELEPHANT WALK H.N.Mancini


録音ベスト10
順位 作 品 作詞者 作曲者 音楽出版社
TIME GOES BY 五十嵐充 五十嵐充 (株)フジパシフィック音楽出版
MY GRADUATION 伊秩弘将 伊秩弘将 (株)オモチャ工房音楽出版
ALONE 稲葉浩志 松本孝弘 (株)メディアプルポ
CALLING 稲葉浩志 松本孝弘 (株)テレビ朝日ミュージック
さまよえる蒼い弾丸 稲葉浩志 松本孝弘 (株)ルームスミュージック
誘惑 TAKURO TAKURO (株)バーニングパブリッシャーズ
(株)エクスタシー音楽出版
SOUL LOVE TAKURO TAKURO (株)バーニングパブリッシャーズ
(株)エクスタシー音楽出版
FACE THE CHANGE 五十嵐充 五十嵐充 (株)テレビ朝日ミュージック
(株)プライム・ディレクション
散歩道 YUKI 五十嵐公太 (株)フジパシフィック音楽出版
10 WANDERIN'DESTINY MARC
小室哲哉 
小室哲哉 (株)バーニングパブリッシャーズ

カラオケベスト10

順位 作 品 作詞者 作曲者 音楽出版社
HOWEVER TAKURO TAKURO (株)バーニングパブリッシャーズ
(株)エクスタシー音楽出版
CAN YOU CELEBRATE? 小室哲哉 小室哲哉 (株)フジパシフィック音楽出版
WHITE LOVE 伊秩弘将 伊秩弘将 (株)オモチャ工房音楽出版
硝子の少年 松本 隆 山下達郎 (株)ジャニーズ出版
ひだまりの詩 水野 幸代 日向敏文 (株)フジパシフィック音楽出版
居酒屋 阿久 悠 大野克夫 (株)テレビ朝日ミュージック
ふたりの大阪 吉岡 治 市川昭介 (株)サンミュージック出版
北空港 やしろよう 浜 圭介 第一音楽出版
北の旅人 山口洋子 弦 哲也 (株)石原音楽出版社
10 珍島物語 中山大三郎 中山大三郎 (株)日音
(株)セントラルミュージック


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