「戦後」はまだ続いています。 JASRACは戦時加算義務の解消を求めています

戦時加算の問題点

日本にのみ一方的に課せられている義務

戦時加算は、戦争による著作権者の逸失利益の回復を目的に、ヨーロッパにおいて自国の立法政策として始まった制度であり、敗戦国が条約による義務として負う性質のものではありません。
そもそも、戦争により著作物の正当な利用がなされず、著作権者の利益が損なわれた状況は、交戦国双方に共通しているはずです。第二次世界大戦後、イタリアなどが連合国と締結したパリ平和条約では、戦時加算は双務的に行うものとして規定されました。
しかしながら、サンフランシスコ平和条約においては、戦時加算が片務的な義務として日本だけに課せられており、連合国については具体的な義務を負わず、「各国の一般的事情が許す限り日本国に有利に取り扱うことに同意する」(同平和条約第14条2項(V))と規定されているにとどまっています。
同じ敗戦国であるドイツについても、実質的な戦時加算義務を負うことはありませんでした。
日本だけが条約に基づき一方的に戦時加算義務を課せられているのであり、この状態は国際的に極めて異例といえます。

戦時加算対象であるかどうかの判断が困難

前述の戦時加算特例法により、戦時加算の対象かどうかは、著作者の国籍だけで単純に判断できず、作品ごとに確認する必要があります。作品の創作時期、第一発行地、国境をまたぐ著作権譲渡の有無などによって、作品ごとに異なるからです。同一の著作者の作品であっても、すでに著作権が消滅している作品と戦時加算により著作権が存続している作品があるため、利用にあたっては注意が必要です。
このように戦時加算は、本来明確に計算できるはずの著作権の保護期間の算定を困難なものにしています。

ページ上部へ