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プレスリリース

2005年2月17日
社団法人日本音楽著作権協会
(JASRAC)

著作権侵害の有無をめぐる争いが委託者間に生じた作品について
分配保留措置を講じたことの是非

~ 東京高裁がJASRACに対する損害賠償請求を棄却 ~

 JASRACの委託者で作品「どこまでも行こう」(以下「甲曲」)の著作権者である有限会社金井音楽出版(東京都杉並区)が、JASRACに対し、作品「記念樹」(以下「乙曲」)の利用許諾を行ったことが同社の著作権を侵害する不法行為または著作権信託契約上の債務不履行にあたるとして損害賠償を請求した訴訟で、東京高等裁判所(塚原朋一裁判長)は、本日(2月17日)、一審判決を覆し、請求を棄却する判決を下しました。
 本件は、乙曲が甲曲を無断で編曲することによって創作されたものであるか否かをめぐり、ともにJASRACの委託者である両作品の権利者の間で争われた裁判に端を発したものです。この裁判は、一審と二審で著作権侵害の有無について判断が分かれた後、最高裁が上告審として受理しなかったことにより、 2003年3月、乙曲は甲曲を無断で編曲したものであるとする二審判決が確定し、終結しました。
 この間JASRACでは、金井音楽出版からの要請に従い、乙曲の利用について徴収した使用料の分配を保留する措置をとり、司法判断の確定を待って正当な権利者に分配する方針としていたところ、上記最高裁決定の直後(2003年4月)に、同社から損害賠償を求める訴訟を提起されたものです。

【事件の経緯】

(1) 2003年4月16日
  金井音楽出版がJASRACに対し損害賠償を請求する訴えを東京地方裁判所に提起

(2) 2003年12月26日
  一審判決(東京地方裁判所)
金井音楽出版の請求を一部認容、請求額約2,300万円のうち180万円余の支払をJASRACに命じた。

(判決理由の骨子)
金井音楽出版の許諾を得ずに乙曲を利用した利用者は同社の有する著作権法28条の権利を侵害しており、利用者に乙曲の利用を許諾したJASRACはその侵害を惹起したというべきである。
乙曲が甲曲の著作権を侵害する楽曲か否かについては、音楽専門家の間でも両論があったのだから、著作権侵害の結果が生じる可能性を予見すべきであり、利用許諾を続けたことには過失がある。

(3) 2004年1月20日
  JASRACが東京高等裁判所に控訴

(4) ) 2005年2月17日
  二審判決(東京高等裁判所)
JASRACは不法行為責任又は債務不履行責任に基づく損害賠償義務を負うことはないとして、一審判決のJASRAC敗訴部分を取り消し、金井音楽出版の請求をすべて棄却した。

(判決理由の骨子)
乙曲が甲曲の著作権を侵害するものであるか否かが明白であったとはいい難く、最高裁の判断を見極めようとしたJASRACの対応を非難することはできない。
分配保留措置は、特段の事情がない限り、利用許諾中止措置より穏当で、かつ、合理的な措置であるということができる。
金井音楽出版は、JASRACに対し、利用許諾の継続を意味する分配保留措置をとるよう申し入れ、その後も同措置がとられることについて了承していたというべきである。このような申入れ及び了承がある以上、申入れの内容が一見して明白に不合理であり、その申入れに従った場合には、申入れをした権利者に回復し難い損害を生じるなどの特段の事情がない限り、JASRACとしては、その申入れ及び了承に従って、乙曲の利用許諾を継続しつつ使用料分配保留措置をとれば、後に判決で乙曲が著作権侵害楽曲であると確定しても、不法行為責任又は著作権信託契約上の債務不履行責任を負うものではない。


【今回の判決の評価】

 今回の判決は、JASRACのこれまでの管理業務の遂行方法について正当性・合理性を認めたもので、JASRACに自らの著作権を信託する権利者にとっても、他方、音楽を利用する方々にとっても、一定の指針が裁判所によって示されたこととなり、きわめて意味深いものであるといえます。著作権の公正な保護と著作物の円滑な流通の促進を図る上で、社会的意義のある判決であると高く評価しております。



以上


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