参加いただいている著作者からのメッセージ

  • 西川 龍彦さんからのメッセージ
    『LINES WRITTEN IN EARLY SPRING』
    19世紀のイギリスの自然派詩人ワーズワースが、自然に包まれた小川のほとりで書いたとされる「早春の賦」は、前半で人間は自然の一部であるのに、自分はこれに反する生き方をしているのではないだろうかと悩んだあと、自然の息吹を感じているうちに人間もまたその一部なのだということを悟ったという詩のようです。
    2011年3月に見舞われたあの辛くて哀しい出来事も自然の営みであり、早春のできごとでした。私たちは、美しい姿の中にも厳しい試練を人間に与えるこの自然に向き合って、力強く生きて行かなければならないのです。

    『思い出』
    「命てんでんこ」・・・岩手県宮古市田老地区にお住まいになっていた田畑ヨシさんは、人生に何度も大きな津波被害に見舞われたご自身の体験から、自作の紙芝居を通じて津波の怖さを説き、語り部をして来られました。田畑さんはこのたびの津波で失われたふるさとの懐かしい姿を思い、通い慣れた丘に続く散歩道や、国民宿舎に灯るほのかな灯り、銀鱗を光らせて川面に泳ぐ鮭の群れのことなど、この土地への忘れがたい思い出を詩にされました。私は失われたふるさとに寄せる思いを描き、せつなく心に響くこの詩に感動し、メロディーをつけさせていただきました。被災地の一日も早い復興が待たれます。

    なお、作詞者の田畑ヨシ様からも以下のメッセージをいただいております。

    私の住んでいた宮古市田老は、過去に何度も大きな津波被害を受けてきましたが、私も人生で2度大きな津波を体験しました。
    昭和8年の大津波で、家族の安否を気にかけた母が逃げ遅れて犠牲となった辛い悲しみを教訓に、津波で少しでも犠牲者を出さないようにするためにも、それぞれが「てんでんこ」に自分の命を守ることを第一に考えて行動するように、機会ある毎に訴え続けてきました。
    このたびの津波では住み慣れたふるさとが失われましたが、懐かしい街の風景を思い出しながらこの詩を書き、皆様にお届けします。

    田畑ヨシ


    『こより火の詩』
    立秋が過ぎてお盆に追悼の花火が打ち上げられる夜、身近な線香花火にも何か哀愁と懐かしさを覚えます。火球坊主の火花が、牡丹から松葉、柳、菊へと姿を変えるのを無心に見入る子らの顔に揺らぐ灯りを見ていると、あの震災で多くの小さな命が失われたことを思わずにいられません。その御魂(みたま)に愛しい影を映して揺らいでいた灯りが消えると、早稲の穂も垂れ始め、夜風に冷たさを感じます。

    『はやぶさの夢』
    2003年に小惑星ITOKAWAへの探査に向けて打ち上げられた「はやぶさ」は、途中、何度も大きなトラブルに見舞われながら、科学者たちの熱意にこたえて7年間の宇宙の旅を終えて地球に帰還するという快挙を成し遂げました。
    たとえ絶望と思えるようなことも、簡単にあきらめてはならないのだという教訓と感動をもらいました。

    『ふるさとからの夢』
    周囲を海に囲まれた日本は、眼前に大海原が広がり、振り返れば白嶺の輝く山並みがそびえているという地域が多いように思います。この素晴らしい国土を慈しみ、いつまでも健全に保ちたい。けれども自然豊かな環境のもとに育まれる毎日の幸せも、時にはその厳しい試練に耐えなければならないことも教えられました。それでも苦難を乗り越え、もういちど気持ちを新たにして元気を取り戻し、ふるさとの復興と発展のために力を合わせていきたいものです。

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